<木津川―岩船寺―当尾―浄瑠璃寺>

邪鬼までは光届かぬ春障子



石仏の少し傾いで竹の秋 



蔵壁に「水」の一文字雪解風  



春泥や磨崖仏をば覗き込む  



こぼれ敷く浄瑠璃寺の花馬酔木 




<海住山寺―恭仁京>

凍てゆるむ陶器の茄子の縁起椅子 



料峭や恭仁宮址に碑のひとつ 



青き踏み礎石に思う大伽藍 




<長寿寺―常楽寺―御上神社―近江八幡―八幡山>

春寒し秘仏の庫裡の丸鏡 



あたたかや話し上手の大黒さん 



森拓き無住の寺へ春日入る 



春寒や檜皮剥かれて肌赤し 



ご神体は近江富士とや木の芽風 



撮影を待つ江戸舟や春の昼 



あたたかやメンタム社前の異人像 



五人囃子迎えし朝鮮通信使 




<長命寺―苗村神社>

本尊を拝す小窓や春障子                



しばらくは琵琶湖眺めて長閑なり          



囀の包む神域古墳群 



風光る三間流れの桧皮葺 

 


<比叡坂本―滋賀門跡―慈眼堂―日吉神社―西教寺>

冴え返る破れ応挙の白猫絵 



北窓を開き蹴鞠の庭のぞく 



梅が香や三才媛の供養塔 



湖越えて比良山系の雪解風



凍て返る檻の神猿(まさる)に威嚇され



のどけしや鳥居神仏習合で



湖を向く地蔵千体草風光る



囀りの消えし光秀供養寺

2月の末から31日まで京都を旅した。湘南高校の修学旅行で、それは湘友会のホームページに載っている。今年から家内も参加した。

 我々は前日の朝に京都に入り、別の観光もしてみた。
 先ずは京都鉄道博物館を訪ねた。梅小路に作られて、鉄道に関する多くの遺産と情報が巨大な建物中に、解りやすく展示されている。屋外ではSLの展示があり、短距離だが訪問客を乗せて貰える。梅見客で賑わう梅小路公園を往復する中々に快適な体験だった。ここは鉄道マニアの聖地の様だ。

 京都市バスで岡崎道へ移動して、黒谷金戒光明寺、聖護院など歩いた。これは京都駅で見つけた散策モデルコース(東エリア)となっていて、一日かけて訪ねるコースだが、その四分の一ほどだ。
 黒谷金戒光明寺は浄土宗の総本山で松平容保が京都守護職としてこの寺に陣を構えたとされる。また新選組の発祥の地でもある。隣接する塔頭の西翁院も訪ね、聖護院へ向かった。ここは秘仏の公開があり、普段は拝顔出来ない、いくつもの小さな仏さんが並んでいた。聖護院は本山修験宗総本山で、明治維新までは数百の塔頭を持つ日本の宗教界では大きな勢力だったが、明治政府の修験道廃止令で天台宗に属すことになった。戦後になって独立したが、規模としては最盛期の一割ほどだと説明があった。
 公開された秘仏の多くは廃寺となった仏を集めて聖護院に保護されたもので、中でも、明治期までは春秋にお着換えされた弁財天は初公開だった。また、財運・金運の蛇神「宇賀神像」も公開された。
 
 暮れては、アラスカフランスタスマニア旅行で一緒した関西在住のIご夫妻と4人で京懐石を楽しんだ。

比叡坂本の「野面積み」を代表する「穴太積み」

千体地蔵経由で西教寺へ

御殿雛飾り

西教寺:明智光秀一族の供養塔

長命寺

御上神社

常楽寺

恭仁京・山城国分寺址

浄瑠璃寺の九品仏(パンフレットより)

当尾の野仏

日吉神社・西本宮楼門

 京都の二日目からは湘南高校の同級生の修学旅行で湘友会のサイトにUPしてあるが、旅吟としていくつかの句を記録として、ここに載せる。

黒北風や蒸気機関車そろい踏み



春ともし暮れて浄土の阿弥堂



料峭や京都守護職本陣址 



犬ふぐり役の行者の下駄高し 



八つ橋も春大根も聖護院 



春燈下赤い着衣の弁財天 



京町の格子窓越し雛灯り

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京都鉄道博物館にて

聖護院の庭園と修験者人形(寺の内部は撮影禁止)

句集『縞馬』:日本のサファリ<2017年(平成29年)−2