「波」誌2025年3月号の作品より
「芹青む」より 初蝶と「船地蔵」まで歩こうよ 山田 貴世
「早春」より つひに来し春一番に木々騒ぐ 西室 登
「春曙」より 春動く笑ひ上戸の道祖神 管山 宏子
潮集同人より8句
裏山の戦ぐ光や春近し 原口 海人
こつそりと僧のうらなふ初みくじ 吉村春風子
叡山の闇の育てし凍豆腐 加茂 一行
抽斗に異国の硬貨年詰まる 稲吉 豊
木枯しや男は老いを諾へず 伊藤美也子
今まさに凶器と化すや屋根の雪 阿部千穂子
アヴェ・ヴェルム・コルプスしんしんと聖夜更く 田中 順子
ラップランド聖夜支度の夜々の闇 山田せつ子
冨山ゆたか撮影 : 春の川
灘集同人より12句
すずしろと呼べば優雅な粥の膳 井上美沙子
真向いに仰ぐ月山師走晴 太田 時子
柚子たわわ生家跡地の鎮もれる 君島 京子
念入りに『波』誌をめくる読始め 早坂きよ子
海鳥の水尾ひろやかに初東雲 菊地ゆき子
子が合す老いの歩幅や春隣 坂本 満子
きこえそう霜夜の星の金属音 山澤 和子
熟々と重ねし齢初鏡 小山 清光
退屈も心の休暇春来る 秦野 方利
月読むの神坐す山や初茜 志鎌恵美子
出稼ぎの村を守りぬ冬の月 當摩さとこ
野良猫の人間不信夕時雨 高津 康子

霧野萬地郎撮影:ミャンマー・カックー遺跡
波集より13句
ベランダはわたしの宇宙寒昴 工藤加代子
長生きの秘訣はのんきお正月 杉下 赫子
俳句と言う縁につながり去年今年 川島 隆
それぞれの暮しきらめく冬の街 阿片美鶴穂
冬晴れや昭和百年いざ生きん 小泉 楽籠
人日や買わねばならぬ味噌醤油 鈴木 絹子
ひとり盛りのふぐ鍋買うて独り食ぶ 遠藤 章子
お帰りの言葉がひとつ大晦日 三宅 善夫
ごひいきのカフェに相席もう七日 村田 和子
AIに咲かせたような冬牡丹 前島恵美子
凩や行き場なき葉の渦を巻く 松岡美由紀
生後七日笑まひ確かや福寿草 星野いずみ
六個だけ揉んで楽しや吊し柿 外川 詔子

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