「波」誌2024年1月号の作品より


「年新た」より     初凪や江の島ひょこりひょうたん島     山田 貴世

「新春随想」より    ご利益は知らず存ぜず初詣         西室  登

「初富士」より     翔平と聡太ゐる世の淑気かな        管山 宏子


潮集同人より8句

象ぱっと消える舞台の初仕事           霧野萬地郎    

木曾路なる時雨の似合ふ仏たち         吉村春風子

犬は犬の吾は吾の思ひ落葉踏む        田邉 幸子

羽根ペン欲し秋のうす雲描くため         伊藤美也子

面壁の禅師の凄み紅葉燃ゆ            阿部千穂子

朝空に白き月あり鳥渡る             鈴木朱鷺女

茶が咲けり右女坂迷ひ道             野口 尚子

芋の露曇天支へ白く凝る              山田せつ子   


  
                   冨山撮影 

灘集同人より12句

鐘わたる浄土庭園冬の水              小泉  潤        

毒茸の怪しき色気杜の径               佐藤 栄子 

月夜茸ほのかに浮かぶユダの顔          山田ツトム

天国とつぶやきひとり新酒酌む          大平 政弘

このみちはみんな行くみち白秋忌          宮川 敏江

親よりも夫とは長し根深汁             髙橋きよ子
                    
五重塔色無き風を受けて立ち           今井美恵子

大花野走るレトロの紙キップ             澤村いづみ

庭石につかの間の日や冬の蝶           遠山 典子

教会の窓際の席木の実降る            開米 遊子

ざぼんの木駄菓子屋のある通学路        酒向  昭

屋号にて呼ばるる故郷秋高し            伊藤真理子


 

 霧野萬地郎撮影:中国・四川省:「楽山大仏」 と 「武候祠」


波集より12句

我もまたいつかはのぼる蜘蛛の糸         高橋 辰郎

蟷螂は挑む構えで枯れており            小林 昭子

文庫本一冊分の夜長かな              宮沢 久子

日蓮忌火伏せの札を買う家訓            坂本きみよ  

ほのぼのと小津の映画や汁粉椀          高谷南海絵

故郷に吾が宿はなく旅の月              中出 隆義   

空掃きてワルツ踊るや花すすき           新関まつり花

銀杏散るふと故郷へ帰りたく              村田 和子   

星月夜見とれる我に降るけはい            杉下 弘之

生き延びて健気にも鳴く冬の虫            蓬田 和子   

ほかほかの焼芋包む戦争記事            本田 令子
 
遥かなる日日の我もゐて鳳仙花           増田 浩子   






「波」のホームページ・トップへ       前月へ      次の月へ