「波」誌2024年12月号の作品より
「虎落笛」より 風の筋日の筋ぬうて冬の蝶 山田 貴世
「初冬」より 踏みしめし落葉よ汝れも「地球民」 西室 登
「十二月」より 極月やヒト科ヒト属うかぬ顔 管山 宏子
潮集同人より8句
すれ違う尼の合掌初紅葉 原口 海人
俗論ばかり枝豆のゆるい塩 稲吉 豊
ひいふうみ鉢にて育ち曼殊沙華 田中美穂子
異界より手招きしたる火炎茸 石井 眞
秋蝶のふんはり晩節の揚力 富山ゆたか
花水木国宝なりし「多賀城碑」 鈴木朱鷺女
一陣の秋風母の忌を修す 田中 順子
河骨の一花律する水の上 山田せつ子
冨山ゆたか撮影
灘集同人より12句
山河とふ浄土へ還る蝉の声 菊地ゆき子
達筆の品書きも味はしり蕎麦 宮川 敏江
霧這うて丸ごと山を呑み込めり 岸 健
月山の風の大波花すすき 木嶋 玲子
原つぱにいつか道付きあきあかね 今井美恵子
きちかうや尼僧の美しき立ち姿 開米 遊子
秋深し灯下に屯する孤独 板坂 歩牛
風を着る子とコスモスの乱舞かな 君島 京子
朝採りのぬるる秋茄子道の駅 大平 正弘
一瞬の川面をわたる風は秋 柳橋 希子
昭和こそ縁台将棋秋盛り 坂本のりとし
加賀の茶を味わう午後の初時雨 畠山 久江

霧野萬地郎撮影:ミャンマー・バガンの仏教遺跡に浮く気球
波集より13句
鶴渡る美しき空へとこゑ残し 當摩さとこ
ちちろ鳴く一夜に命震わせて 新関まつり花
隣人は宇宙人やも蚯蚓鳴く 本城 清
檸檬の実そっと置いたら手榴弾 井上 尚子
朝霧や小さき教会ミサの鐘 杉下 赫子
山の宿湖面に揺れる月の帯 山崎 美紀
秋茄子の包丁はじく濃紫 小泉 楽籠
爽やかやヒジャブきりりと女子大生 草野すみれ
蚯蚓引く中は火の玉水の星 飯塚 一英
秋草の触るるばかりのローカル線 大谷みどり
虫の音に眠るやすらぎガザの子へ 村田 初子
単線の車窓掠める尾花かな 木原 洋子
秋意はや雨の韻充つ庭の夜半 小鳥遊 彬

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