「波」誌2024年4月号の作品より


「花の昼」より          窓際のカフェの定席花の昼           山田 貴世

「早春そして晩春」より     縮み行くわが影法師日脚伸ぶ         西室  登

「桜花」より            吹き荒ぶ風はモノクロ花は葉に         管山 宏子


潮集同人より8句

懸崖に修験の径や竜天に              霧野萬地郎    

散歩道風意の確か梅ふふむ             吉村春風子

早朝の覚醒ぐせや寒苦鳥              石垣みち代

遠き日の根岸の海や浅蜊舟             阿部千穂子

舎利殿の障子継ぎ貼り初日影            石井  眞

乳飲み児の匂ひも抱けり小正月           富山ゆたか

阿夫利嶺を蹴り上げ空手の寒稽古         鎌田紀三男

探梅の坂福相の猫過る                鈴木朱鷺女

  

                   冨山ゆたか撮影 

灘集同人より12句

笹鳴きや森のパン屋の定休日              岸    健        

一息に竜昇りたりどんどの火               千乃 里子 

成人の日の君光る海光る                髙橋きよ子

立春やライバルゐてこその天才             澤村いづみ

満目の海の煌めき若布干す               開米 遊子

江ノ電や窓いっぱいの初日の出             酒向  昭
                    
節分の豆売れ残り鬼笑う                  菅井 亮太

春雪の掻くには惜しき朝かな                畠山 久江

輪島塗拭えぬくもり雪しんしん              関  美晴

手捻りの土の硬さよ冴返る                志鎌恵美子

春立つや二足歩行の人と鳥               伊藤真理子

猫柳お日さまが好き風もまた               今野 勝正




      霧野萬地郎撮影:アイルランドの風景(ケリー半島 と チャップリンの像)


波集より12句

冬眠の蛇も山ごと売られけり             宮沢 久子

今日もまた落葉の集う雑談所              秦野 方利

悴む手しみ皺勲章わが人生              石田 啓子

閉店の貼紙寂し冬の風                 早坂きよ子
  
節分会すべての人に福来たれ             吉川 知子

薬飲むほどにはあらず卵酒               増田 浩子   

樹に在るも地に在るも赤花椿              中出 隆義

夫と酌む一合の酒寒の夜                斎藤 華子   

降る雪や音を消し去る露天風呂             上野 和行

春昼に目瞑る猫は猫背なり                蓬田 和子   

会釈受け思い出せない冬帽子              飯塚けいじ
 
初曾孫初抱く幸や春近し                  外川 詔子   






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