回春院の俳句(3月)
広大な回春院の寺領には多くのやぐらが残っている。その多くは墓だ。一般の人が踏み込んでいない谷戸を住職と行政、植生、郷土史の専門家たちも一緒に歩く。中で朱垂木のやぐら、観音の線画の見えるやぐらなど、貴人の墓所であったのだろう。
この時期、谷戸の奥からの湧き水に沿って、多くの野芹が育つ。摘んで豊かな味を楽しめるが、毒のある姿の似た草もあるらしいので、要注意!
もののふの墳墓に湧けり百千鳥 そぼ降れる木の芽起こしや杣の道
垣手入れ鉈は一気に竹を割く 三椏の匂ふや谷戸の直末寺
仏前へ桃一枝の明りかな 降りしとど雫のつつむ花馬酔木
泥も斬る芹摘むナイフまた拭いて 野芹摘む踏ん張る靴を汚しつつ
<朱垂木やぐら>
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<霧野萬地郎 句>