句集「縞馬」：日本のサファリ＜平成16年（2004年）ー4＞

５、６月はゴルフの誘いも多い。平日にプレイできるので、安いし空いている。気に合う仲間との競技も良いが、日常から離れての自然との接触は捨てがたい。
吟行では、5月末には秩父へ、6月末には岩手へ行った。お元気なN氏、地元のM氏にはお世話を掛けた。
そして、緑（あお）鳩を大磯海岸で見れた。海水を飲みに丹沢からこの季節にのみ飛んでくる。命がけで行動する珍しい鳥の生態をこんな身近に見る事が出来て、感激する。
その後は、7月末からフランス旅行までは何かと準備に忙しかった。

秩父巡礼の最後の34番札所、水潜寺

岩手県、遠野の河童淵（上）と囲炉裏の上の岩魚(左）

自転して宙をさ迷うシャボン玉

鯉のぼりむかし越後は大家族

風に聞くシュプレヒコール五月来る

流離の蟻一匹の自己責任

彗星のふたつ来るらし棕櫚の花

雲速し蟻の旅団の幾山河

集団の意思か蚊柱立ち上がる

マニキュアを拒むビールの缶の蓋

経文の一字一石花空木

花栗や風にふくらむ高麗の郷

百枚の植田余さず富士映す

搾乳のあとは涼しく牛ゆばる

下は大磯の緑（あお）鳩

自在鉤上に岩魚は乾き切り

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望遠に緑鳩（あおばと）のゐて磯蟹も

らっきょ剥く男無口に怒り肩

鹿威し少し間を置き老鶯が

球界の縮小を読む黴畳

拍子木の一打納める荒神輿

烏瓜咲く露地そして萎む路地

出目金や立ち食い蕎麦の湯気の中