句集「縞馬」:日本のサファリ<平成16年(2004年)ー3>

桜が本当の日本の春の真ん中だと思う。
開花前線が北上するに従って、列島が冬の名残りの寒さ、暗さから、次々と皮を剥ぐように、季節が動いてゆく。日は伸びて、草や樹が花を付け、鳥や獣の繁殖期となる春はどの国にでもある事だが、この桜前線が縦断する日本列島はこの時期は極めて一元的で、住む人全体の感動が共有されていると思う。

かの山に桜一樹の魁ける

いま仁王動けば花の埃かな

瀧桜てふ一本と暮らす里

この道をただ歩くだけ飛花落花

みちみちて花のひとひらまたひとひら

(3月27日の上野の桜は3部咲き)

(4月11日の福島三春の瀧桜も三部咲きだった)


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