「波」誌7月号の作品より

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潮集同人から7句

ありつたけ巻尺伸ばす修司の忌    鈴木八洲彦

若人と語る堤や春夕焼        庄司りつこ

裸婦ふたり皿に踊れるマチスの絵   太田  翠 

藤沢宿てふ街道の初つばめ      濱口たかし

立夏早や街掻き回す大噴煙      松永弥三郎

竹寺の竹の黙解く大南風       中野 淑子

ぼうたんの大笑面となりにけり    由田 欣一

樺太の新しい教会門とソ連時代のアパート(撮影:霧野萬地郎)

撮影:富山ゆたか

「江の島連唱」より 白帆沖へ追ひつめられし晩夏光      倉橋 羊村

「浜木綿月夜」より 人恋し浜木綿月夜ならばこそ       山田 貴世

「雀隠れ」より   まだきより雀隠れや海女の道        八重樫弘志

「芥子の花」より  夢ありし日のごとく揺れ芥子の花      朝広 純子

灘集同人より9句

種蒔くやここは活断層かもしれず   生田 一代

傘雨忌やいのちいかしていかされて  山下 遊児

「ちちんぷいぷい」母のまじなひたんぽぽ野 野口 尚子

心地好き風が好物鯉のぼり       板坂 歩牛

毒薬と言う香水に今日を決め      井上美沙子

欠伸して不安吐き出す入学児      筒井 洋子

裸婦像の乳房に頬に緑さす      鈴木朱鷺女

春深し伏せたるままに文庫本     稲吉  豊

石を割る春の野芥子の存在感     石垣みち代

撮影:鈴木基之

波集から8句

下町の風湿りもつ荷風の忌     伊藤真理子

香水選る夫亡き日々に慣れもして  坂本 満子

薄衣女の意地のほのと見ゆ    塚本 虚舟

桜蕊降るや男の更年期      緒方 格子

人寄ればおらが在所の花自慢   伊藤 民雄 

作業着の車座もあり花万朶     朝日  操

香水が追っかけてくる悪夢かな   春本 幸洋

村は過疎子らの声なき子どもの日  信乃 美萩