「波」誌2025年11月号の作品より
「山日和」より 掛け稲架の影濃く置ける山日和 山田 貴世
「秋の移ろひ」より 落柿舎へ翁のみちは竹の春 西室 登
潮集同人より8句
空襲に潜りし壕や星月夜 原口 海人
児の未来想へば虹の立ちにけり 中野 淑子
霧を出て又霧に入る七曲り 石垣みち代
両手もて頬ひとたたき今朝の秋 石井 眞
残像の濡れておるなり青蜥蜴 山下 遊児
きれぎれの虹の片端海に入る 鈴木朱鷺女
秋立つや渓の瀬音の入れ替わる 飯野 深草
炎帝の吼えて荒ぶる水の星 伊藤真理子
冨山ゆたか撮影 上野公園にて薄紅葉 鶏頭花と蝶
灘集同人より12句
朝採りの滴るような茄子の紺 今野 勝正
軍服の叔父の遺影や夏座敷 田原梨絵子
辻廻す音軋ませて鉾祭 中嶋 敦
生身魂伸ばす背筋の矜持かな 開米 遊子
撫で叩く手秤る西瓜嫁の勘 井上美沙子
バス停に男日傘の二人かな 佐藤 栄子
朝霧の無音の光蓮の花 岸 健
蟬の声聞かずしまひの猛暑の日 柳橋 希子
筍飯女は泣いちゃいられない 風野 でら
目配りはこころ配りや水を打つ 坂本 満子
炎天やいよいよ重き象の鼻 宮沢 久子
夜濯や小さな嘘を流しをり 筒井 洋子

霧野萬地郎撮影:ピョートル大帝夏の宮殿の正面とその内部のシャンデリア
波集より13句
終戦日徒死せし父の無念の忌 並木 凡人
朝顔の明日咲く花を数へけり 藤丸 美生
炎天や影の焦げつく交差点 村田 和子
青田風サラサラさらら撫でて過ぎ 西田まさ子
まさにいま塔婆で蟬が脱皮せり 高橋 辰郎
今日もまた真面目に生きて冷やつこ 式部 洋子
風の盆徹夜踊りの根気良さ 清水 誠
恥ずかしき昭和男の日傘かな 谷垣内和之
手土産の父の朝採りトマトかな 片桐眞知子
灼熱や不動明王静かなり 飯塚 一英
秋の声聴いてみたくて箱根路へ 岡坂ゆう子
熱クルクル丸まり日傘畳まるる 星のいずみ
境川秋夕焼けをとうとうと 青谷 逸子

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