「波」のホームページ・トップへ       前月へ      次の月へ

潮集同人より9句

湯豆腐のことりことりと二楽章      本郷 秀子

春暁や気球は胎の瓦斯で立つ       霧野萬地郎

海を見に冷たき手摺頼りとし       原口 海人  

陽春の美ら海背に四世代          中野 淑子

巣ごもりの人増えてゆく寒椿       由田 欣一 

延命措置いらぬと書きし初仕事      田邉 幸子

冬紅葉石塊残る一夜城         石垣みち代

古暦世界を巡る旅果つる         田中 順子

縁たやさぬ友のきづかひ初便り      野口 尚子


灘集同人より12句

余生にも味と伸び代雑煮餅         中嶋  敦 

恐怖心あおられ始む雪の降り       板坂 歩牛

牡丹鍋今日丹沢のよく見えて       長野 保代

一村の刈田夕日をとどめんと       永井かほる

友おくるこの冬天の高さかな       君島 京子

ぬばたまの闇押し上ぐや初茜       志鎌恵美子


子供らの笑顔も味や雑煮椀        髙橋きよ子

些細なることはさて置き福笑ひ      小山 清光

どの家も家伝のありて雑煮椀       井上美沙子

子と居れば笑ひ生まるる初鏡       柳橋 希子

凹む日の猫の肉球ちゃんちゃんこ     倉沢 塔子

習はしの男賄ひ三ケ日           田原梨絵子



波集より12句

読み初めの『俳句入門』今更に            渡辺 初子

御饌米受けて炊き込む七日粥            千綿 ふみ

寒夕焼富士の円錐黒ずくめ             清水 茂代

掛け替へて何故かうきうき初暦            永尾 陽子 

白菜を洗う幸せ八十路かな             佐々木照子

小鳥達初御目見で家の春              三宅 善夫

初鏡こころをリセット紅をさす           草野すみれ

いざ出船初日言祝ぐ「波」幾重            伊藤 民雄

労りの言葉掛け合ひ年用意             斎藤 華子

戦わず正月お節嫁の味                石塚佑伎子

着膨れて無口な人となりにけり            飯塚けいじ

感情の縺れそのまま師走入り            新関まつり花

「波」誌2023年3月号の作品より

「雛の間」より     灯を消せばかすかな吐息雛の間      山田 貴世

「如月・弥生」より    言霊の魔力や「弥生」とふ生気       管山 宏子

撮影:富山ゆたか(鶴見・総持寺にて)        

撮影:霧野萬地郎:(ミャンマー・バガン遺跡にて)