2日目(23日)

 早朝の航空機にてヤンゴンからバガン観光の玄関口・ニャンウーへ飛ぶ。着後、バガンへ行く前に、ミャンマー土着の信仰・ナッ神の聖地ポッパ山、その麓に聳えるタウンカラッを訪問する。

 ミャンマーの9割の人が上座部仏教を信仰しているが、ここポッパ山麓にはそれ以前から土着の精霊信仰が根付いていた。その総本山タウンカラッは標高737mの火山岩頸の頂きに在り、金色の神々しさを発散している。この頂上までは777段の急な石段を登り切らなければならない。入り口で素足になり、野生の猿の糞を避けながら登る。もっとも、これらの糞を掃き清める人もいるのだが、決して安心してはいけない。石段の途中にはナッ神のさまざまな人形が随所に飾られて、祈りの人が絶えない。奇跡を起こし敬われた人たちが37のナッ神として祀られた。ヒンズー教のガネーシャもいるが、釈迦はいない。

 ナッ神以外にもウェイザーと呼ばれる信仰の対象があり、そのひとり、ボーミンガウンは20世紀にまで生きていて人気が高い。ただ、その姿像は任侠のように俗っぽく見える。少し乱暴の言い方をすれば、神棚と仏壇を置いたような感じかもしれない。

 標高737mのタウンカラッからは四囲の山野が一望でき、実に気持ちが良い。

<地上でのバガン三景>

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豆植えの畝の乾きやバガン原       春塵や古跡巡りの二輪馬車

 

仏塔の色を深めて春夕焼         半熟の太陽落ちる春の古都

 

昼食を済ませて、いよいよバガンへ入る。連泊のホテルにチェックインして、昼間は暑いので部屋で休憩した。涼しいバガンでも日中は30℃になる。

バガン王朝は10世紀中頃にビルマ族がこの地に都を築き、13世紀にフビライ・ハーンの侵攻で滅びるまで大いに栄えた。王朝の王は上座部仏教をスリランカから取り入れ多くの仏塔を建てた。当時は5000基ほどだった仏塔は破壊や崩壊もあったが、今でも3000基ほどの大小の仏塔が往時を偲ばせる。ガイド氏によれば、日本の奈良に譬えられるとの事。

3時を過ぎて、バガンの仏教遺跡群を馬車で見学する。見学ルートは概ねオールドバガン地域で、この地域に考古学保護区として遺跡群が多く残っている。このために住人たちは強制的に追い出されたと云う。

車の入れない馬車道をのんびりと遺跡群を巡り、写真スポットでは気軽に止まってくれる。畑も残っていて、豆類やトウモロコシ畑が慎ましく土から芽を出している。仏塔の姿はスリランカから伝わった古い釣り鐘タイプから球根型や円筒型などそれぞれの時代を表している。

時間が経つにつれて、塔に当たる夕日とその影が美しい。しばらく仏塔巡りをして、馬車から下りて、小高い丘からバガンの落日を眺めた。明日は春節なので、休みを使った中国人の団体が既に丘に集まっていた。観光客を目当ての土産売りもあって、丘は混雑状況を呈している。それでもイラワジ川の向こう岸の山に沈む太陽と、バガンに点在する仏塔のシルエットが絶妙な美観を見て大いに満足した。

夕食はホテル近くの品の良いレストランでミャンマービールとサモサなどを食した。メインやデザートを含めてここがこの旅で一番に良かった。

ライトアップされた塔などを見ながらホテルに戻った。

<ナッ信仰の総本山・タウンカラッ> <砂糖椰子の樹液採集>

猿の糞さけて素足の寺参り           功徳乞う女ら招く旱道

 

           神像の紙幣を纏いふと暑し