3日目(24日)

 この旅のハイライトとして予め、空からのバガン熱気球観光を申し込んでいた。宿へ朝の5時にバルーン運営会社の車が迎えに来た。バルーン離陸場へ行けば、既に二十以上の気球が草原に置かれている。それに取り付けた乗客を乗せる籠からガス炎を噴き出し、火を強めたり弱めたりして調整をしている。やがて、申し込んだバルーン会社の気球毎に乗客は区別され、キャプテンを紹介された。我々の気球のキャプテンは英国人のニック。そして、ニックを中心に10人近くの助手がチームを作り一つの気球を担当する。バガンで運営するバルーン会社は他にも会って、この日は30以上の気球が上がるらしい。気球が準備するまでの時間には、お茶や軽食も出され、ゆっくりと過ごす計らいがあった。

 やがて横倒しの気球に勢いよく空気が吹き込まれ、次に、ガス火で熱せられて次第に気球が宙に立ち上がり、併せてそれに引っ張られるように乗客の籠が起き上がる。気球を支える人、空気を送る人、気球の口を整える人、など多くの人が一つの熱気球に携わっている。気球の大きさはざっと直径20m、高さ30mと、とても大きい。そこで、乗客が籠に乗り込む。我々はスェーデン人とドイツ人と一緒に計11人が一つの籠に乗る。キャプテン、ニックの指令で、離陸態勢として籠の中のベンチに座りしっかりと籠の孔を掴み、身体を固定する。10秒ほどで気球が離陸して、この態勢は解かれ、あとは籠に立ち上がることが出来る。ニックは籠の中央で操縦する。同じ会社の他のバルーンとの交信、地上の会社との交信、そして、バガン全体の気象関係者との交信をする。それにより、ガスを調整し高さを、そして、方向を定めていく。

浮いてまもなく東の空を明るく日が昇る、バガン大平原へ光が差し込み、数千の仏塔寺院の赤い煉瓦壁に当たりとても幻想的な空中散歩となる。他社も含めて37の気球が次第に明らむ空を浮遊する。我々の気球はそれらの殿に付いているので、前方で朝日を受けた36の気球と、その下の数百年前からの仏塔寺院との景観を楽しませてくれる。ニックはガイドも兼ねて、交信の合い間に寺院の説明もしてくれた。有名寺院には風を読み、ガス噴射を調整しながら近づく。素晴らしい技能だ。

寺院地域から村の上空も通過する。丁度、家々の朝の動きが始まっていた。学校への子供たちが見上げている。牛の搾乳をはじめている家もある。

着地場所へは離陸よりも更に慎重だ。乗客は同じように籠の中に座り、巨大な気球が畳めるような広い草原を目指す。既にニックグループの助手たちが車で近くに待っていて、下からニックと連絡しながら着地した。彼等の助けを借りながら乗客は籠からおりて、草原に用意された「祝・気球飛行修了式」に出る仕儀となる。ニックが挨拶をして、パパイヤ、ドラゴンフルーツなどの果物が供せられ、更に、スパークリングワインで祝ってくれた。その場で修了証書なるものをニックが仕上げて手渡してくれた。大いに客を喜ばす術が素晴らしく、乗客はみな大満足だ。その間、ニックチームの助手たちは気球を畳み車に積んで帰る準備を整えた。バルーン会社の車でホテルへ送り戻して3時間の熱気球プログラムが終了となった。

春暁や炎を胎へ熱気球       朝ぼらけ春のバガンへ気球行   


    春風のまにまに遊ぶ気球たち     仏塔もよぎる気球も春の影   


遥かなるイラワジ河や朝霞   着地して気球卒業証明書

写真は上から:

気球の離陸前 

仏塔と気球 

日の出と気球  

着地してシャンパンで祝う修了式

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