次に高雄市が一望できる小高い寿山公園へ向かう。こからは街だけでなく港までも眺められる。元々高雄山と言われていたが、昭和天皇が皇太子時代にここを訪れてからは寿山と称されている。若いカップルが山頂の「LOVE」のサインボードと写真撮影していた。生息する野生のサルは見えず、公園内の忠烈祠は工事中で入れなかった。

この日の夕食は客家料理が組み込まれていた。客家は遠く秦の時代から華南へ移動して、広東省や福建省を経由してこの台湾へも多く移住してきた。これらの人達の伝統料理が客家料理で、保存性のある濃い目の味が多い。山の幸が主体で素朴だったこの人達の料理も、ここ台湾では海鮮も使うようになった。でも食べた台湾客家料理は干したイカや小エビがあるだけだった。

食後は屋台の並ぶ六合夜市を散策する。百を越える屋台が並び、賑やかな市ができている。食後でなければ食べたいものが溢れている。カエル、蛇などゲテ物も売られているが、エビや貝やカラスミ、また、新鮮な果物などが山と積まれている。勿論、餃子やシュウマイなども売られている。客家料理などよりここで食べ歩きしたかった。

高雄を流れる愛河の遊覧船から夜の週末の町を観光してこの長い一日は終わった。(高雄泊)

高雄では手配した車で蓮池の龍虎塔に案内される。中国の考え方では、龍は最も善良な動物、虎は最も凶暴な動物とされており、この龍の口から入り、虎の口から出てくることにより、自分のこれまでの悪業が清められ、さらには災いも消えて無くなっているのだそだ。蓮池上のジグザグの道で塔へ渡るが、「悪魔はまっすぐにしか進めないので、道をジグザグにしたら悪魔は侵入できない」ということでジグザグになったと云う。

塔にも橋にも中国古代の物語や史実を表す絵画や彫刻がある。龍塔には中国人が親孝行の模範と認める「二十四孝子」や悪人が地獄で受ける「閻魔大王審罰刑図」などの絵が描かれ、また、虎塔の方には、「十二賢士」や天国の世界を描いた「十殿玉皇大帝三十六宮将図」などの絵が飾られている。この中には、台湾独自の史実などは見られなかった。大陸本土から人達は今でも本土への思い入れが強いのだろう。こんなところにも国名は中華民国で、大陸の中華人民共和国との関係によるデリケートな立ち位置が感じられる。涼しい風を受けながら塔の上からは広々とした蓮池の景があり、この塔と同じ様な中華風の建造物も見える。

1日目(1028日)−A

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シャキシャキと蓮霧(レンブ)を噛めば秋うらら

南国の秋や夜店に蛇蛙   

愛河に遊ぶ若人秋の風

露店の台湾果物↑、寿山公園↓

露店で釈迦頭と連霧と言う台湾特産の果物を買って、宿で美味しく食べた。保存と運搬が難しいので、日本には殆ど売られていない。試食したバナナも流石に美味い。木で熟されたバナナなのだろう。

ひやひやと龍虎の口へ踏み入りぬ 

 

爽風や龍虎の塔は池に建つ  

 

釈迦頭や南国秋の濃き甘さ

六合夜市にて

愛河の遊覧船

↑龍虎塔の下から上から