5日目(109日)

今日はこの観光の目玉でもある、シギリアロックの登頂を目指す。「ライオンの岩」とも云われるカシャーパ王の建てた王宮にまつわる話はスリランカでは知らぬものはいない。

時は5世紀、アヌラーダプラでの事。父王を幽閉して長子カシャーパは王位を剥奪した。その間に異母兄弟のモッガラーナはインドに亡命した。カシャーパは幽閉した父に王家の隠し資産のありかを教えるように迫った。父は己の成し遂げた最大の事業と信じる灌漑貯水池へ息子を連れて行き「これが私の全財産だ」と答えた。これに怒ったカーシャパは父を生き埋めにした。その後、インドへ亡命した弟のモッガラーナの復讐を恐れて、また、父の亡霊を恐れて、180m以上もある岩山の頂上に、誰も到達できない要塞の王宮を造った。

やがて、インドから戻って来た弟モッガラーナの軍と平原対決し、運命を決める逸話が残った。カーシャパの乗っていた象が隠れた沼地で危険を感じ、突然方向を変えた。カーシャパ軍はこれを撤退の合図と解釈して、王を残して四方へ逃げ去った。一人残されたカーシャパは短剣で喉をかき切り自害した。その後、モッガラーナはこのシギリアの王宮を仏教僧へ寄進し、首都をアヌラーダプラへ戻したと云う。長い間、埋没していたこの宮をイギリス人が発見したのは1875年のことである。

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 下山後はバスで南下して一気に島南端のリゾート地、ヒッカドワへ向かう。途中の渋滞に巻き込まれて、予定より1時間以上も遅れたが、出来たばかりの高速道路も走り、そして、半分は眠りながら、無事に到着した。

シギリアロック夜明けプールに現れり



サングラス外し岩絵の美女に惚れ



雀蜂避けて岩肌這い登る



万緑を抜け天空の古城かな

<左上:鏡の回廊と螺旋状の階段>
<上:頂上からの展望>
<左:ライオンの入口>
<下:ホテルからの景>

<180mの突き出たシギリア・ロック>

この絶壁を階段で登る。途中にほぼ垂直に螺旋階段を登ったところに、有名な「シギリア・レディー」の壁画が残っている。僅か11年間の統治の間に狂った王が遺した傑作絵画だ。23人のこのシギリア・レディーは王妃か側室か侍女たちか、さまざまな憶測と謎のなかで彼女たちは微笑んでいる。

更にその先には「ミラー・ウォール(鏡の回廊)」が造られている。岩壁に上塗りされた滑らかな石灰の表面が鏡の様になり、かつては岩壁全体に描かれた美女たちがこの鏡に映る仕掛けになっていたらしい。ここだけは今年から写真撮影が禁止されている。

 ミラー・ウォールを抜けて更に上ると「ライオンのテラス」に到着する。今は爪の両足があるのみだが、かつては足、頭部もあったそうで、ライオンが口を開け座った形になっていた。喉に呑み込まれる様に入口として王宮に向かったのだろう。(シンハはライオン、ギリアは喉の意味で、シギリアの地名由来となっている。因みにスワヒリ語でもライオンをシンバと云う)

 ライオンの口から更に急勾配の階段を上ってゆくと頂上に到着する。丁度1200段あると云う。王宮の頂上からは360度の展望が開け、実に爽快な気分だ。面積は1.6haもあり、王宮、兵舎、住居など、更に王のプールや玉座などもある。下山階段の途中にも当時の会議室や礼拝堂の跡などもあり、首都機能が揃っていたと思われる。まだまだ解明されない事も多く、今後の学者たちの研究が待たれる。

<撮影禁止の壁画23人の美女たち(ガイドブックより)>