3日目(108日)

この日最初の観光はライトアップを眺めた仏歯寺の境内に入る。仏陀の聖なる歯がスリランカ島に運ばれて以来、仏歯は歴代王によって守られてきた。この仏歯は紀元前543年にインドで仏陀を火葬した際、その中からようよう手に入れたとされる。その後、4世紀にインドの王子が頭髪に隠してセイロンに運び、遷都と併せてこの仏歯も一緒に運ばれた。ここキャンディには1590年に移された。

1505年から1658年の間はキリスト教徒のポルトガル人がここキャンディを占領した。この時に、仏歯をインドのゴアで破砕すると迫られたが、シンハラ人たちは仏歯の複製で欺き、本物の歯はキャンディに守られた、との逸話が残っている。

仏歯寺は濠で囲まれ、仏歯を祀る本堂と八角形の堂からなっている。この八角堂は1796年から1948年までの英国占領時代に留置所に使われたが、今ではヤシの葉の写本や経典を管理する図書館となっているそうだ。

靴を脱いで、帽子をとって、多くの巡礼者と一緒に本堂へ入る。世界中から多くの観光客を呼ぶ、ペラヘラ祭の様子を描いた様子が壁に描かれている。今年は8月に行われたそうだ。石門の隅にあった、象が暴れぬように足を縛り付ける鉄の鉤から、その大掛かりな様子を想像させられる。仏歯を象の背中に積む時の不測の事態を避けるためだとガイドの説明。

本堂では多くの信者が蓮花を奉じて、一心に祈りを捧げている。講を組んで団体で来ている信者たちも多い。観光客は祈る信者たちを縫うように本堂を通る。仏歯の置かれた部屋は扉で閉ざされていて、仏歯を収めた宝石をちりばめた金製の仏舎利の写真が扉の前に掛けてあった。尊い仏陀の教えはこの歯を通して語られたのだから、大切に守られているのだ。

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冷房も日本語もよし宝石屋          蟻塚に蟻が見えないハーブ園

青バナナ吊るし間口を狭くせり              つやつやの青葉匂うや噛むタバコ

<マーケット前の三輪タクシー             マーケットの野菜果物店>

ダチュラ咲く祭の道へ飾り象     聖域へ靴も帽子も脱ぎ涼し     



蓮華掌に善男善女仏歯寺へ      掌合わせて素足投げ出し経を読む

仏歯寺からキャンディの中央市場へ行く。現地の野菜や果物、肉や魚などが猥雑とした中に所狭しに生活品が並べられ、地元感が溢れている。噛みたばこ、羊肉の吊るし売りなど日本には見られない店が面白い。衛生管理が行き届いているのか、南国のマーケットに多い生臭さはあまり感じられなかった。ここではマンゴスチンを買って久しぶりにその味を楽しんだ。午前10時を過ぎると南国の厳しい暑さになる。その時間までに、マーケットを廻れたのは良い企画だった。

次は宝石屋を訪問する。この国では、ダイヤは採れないものの良質のサファイヤ、ルビー、キャッツアイなどが産出する。英国のウィリアム王子がスリランカ産12カラットの楕円サファイヤで婚約指輪を作ったとガイドが自慢気に話してくれた。冷房が行き届いて、見学するだけだったが、一息ついた。日本語が堪能な販売員が何名もいて付き添ってくれるが、こちらは買う意思がないので、申し訳ないが、暖簾に腕押しと云ったところか、、、今は爆買いの中国語の方が有用のようだ。

次はスパイスとハーブの植物園。ここスリランカではアーユルヴェーダによる自然界の力を借りて健康維持、治療が世界的に有名だ。樹木の皮、葉、根、実、花などを調合して様々な薬効を引き出す。そんな専門家の説明を聞きながら植物園を巡り、終わりにはアーユルヴェーダ・グッズの売店へ案内された。旅仲間の一人が脛毛の脱毛を成功裏にその場で体験し、幾つもの瓶を購入していた。

<仏歯寺にて:ペラヘラ祭の様子、仏歯の安置はこの扉の中、巡礼の様子>