エジプト考古学博物館はカメラの持ち込み禁止。これまで、ルクソールの王家の谷やアブシンベルでみた神殿や王墓からの副葬品がこの博物館に展示されている。盗掘の無かった王家の谷のツタンカーメン(没BC1324年)の副葬品は奥の部屋に纏められ、黄金のマスクや玉座などが出色だ。この黄金のマスクを見る為に、上野で長い行列が出来ていた。
第8日目:1月29日(水)−2
カイロ市内に移動して昼食をボートレストランで摂り、エジプト考古学博物館の見学へ向かう。
2011年のこの1月に、アラブの春のひとつ、エジプト革命が起きて、ムバラク政権が打倒された。その暴動が発生したタハリール広場や、黒焦げのムバラク大統領の与党である国民民主党ビルがこの博物館のすぐ横にある。
ワニの木乃伊
その他にも、王のミイラはそれだけで部屋を設えて展示室がいくつもある。カルナック神殿やアブシンベル神殿を造ったラムセス二世のミイラもある。彼の身長は183cmもあり、90歳まで生き抜き、王妃や側室の間に多くの子(一説には180人)を残した威厳がミイラからも感じられる。
エジプト革命後の大統領選挙でモスレム同胞団のムルシーが当選し大統領に就任したが、政権人事や新憲法制定の対立、政治経済の混乱が続き、シーシー国防大臣によるクーデターが惹き起された。今はシーシー率いる軍が統治している。
ツタンカーメンの父、アメンホテップ4世(没BC1333年?)の像がユニークだ。多神教崇拝を多くの反対を押し切って、唯一アテン神の一神教を始めた王であったが、彼の死後にはまた元の多神教に戻ってしまった。その為か、彼の像やレリーフは威風堂々と言うより、変わった風貌だ。顎が尖る、指が長い、肉付きが不自然で、異端児の雰囲気が感じられる。
木乃伊の内臓を入れた容器
ツタンカーメンの棺
ミイラの内臓を保管するカノプスの壺やワニなど動物のミイラもあって興味深い。
内部の写真は全て絵葉書の付録のCDから選んだ。
アメンホテップ4世の像
ツタンカーメンのマスク
タハリーヌ広場の装甲車
古代博物館の後ろは焼けた国民民主党のビル
ツタンカーメンの玉座
カイロ古代博物館の内部
装甲車出でてアラブの春なるや ビル焼けて革命成って鳥雲に
春昼や王の木乃伊は腕組む
副葬の玉座に遺す恋や春 畑焼くや宗教改革せしファラオ
観光客を呼びたいガイドは「革命記念日も平和なものです。日本のみなさんにそう伝えて下さい。」と言っていた。広場へ通じる道路は装甲車が置かれ、あちらこちらに銃を携えた兵士が治安維持に勤めている。