724日(木)-2

昼食はジョグジャカルタへ戻り、王族の邸宅に設えた食堂でのビュッフェスタイルをいただく。バリ舞踊も登場して華やかな昼食となった。

ジャワ島民の9割は敬虔なイスラム教徒なので、この時期はラマダン月に当る。移動中の車でいろいろとラマダンやイスラムの事などをガイドに聴く事ができた。彼女の名前はアティン。初孫が生まれたばかり、加えて、今年はメッカ巡礼(ハジ)にも選ばれたとかで幸一杯といったところだ。

断食は日の出の早朝から日没迄の約14時間は食べる事はもとより、水も口にしない。これはイスラム暦の第9月の期間を通して行われる。この月の新月から次の新月まで続ける。ラマダンとは断食月の事で、断食そのものでは無い。男子は割礼し、女子は初潮があって始めるのが一般的だと云う。決して苦行ではなく、むしろ、世界中のイスラム教徒が同じ事をする絆・連帯感が感じられ、併せて、食に対する感謝の念を持つ大切な期間なのだ。

午後はジャワ更紗の工房を見学するも、余り興味が湧かないので早々に出て、希少コーヒーのジャコウネコ・珈琲(コピ・ルアク)の直売所へ向かう。珈琲は苦手なので、知らなかったがジャコウネコ・珈琲(コピ・ルアク)は珈琲通では知る人ぞ知る高価なものなのらしい。作り方はこうだ・・・

ホテルへ戻り、夕食までの少しの時間、近くのモールへ行く。フランスのカルフールが大きな面積を使って日用品や食品などを売っている。売場の中央に椅子とテーブルがいくつも置かれ既に家族連れや友人同士が座って日没を待っている。モール内を歩いているうちに、日没宣言があったのか、カルフールだけでなくスターバックスやケンタッキーフライなどで一斉に食事が始まった。どのテーブルにもこの日の断食を終えた満足感が溢れていた。

<ブランバナン寺院にて>

<ジャワ更紗>

中世ジャワの面影を残している古都ジョグジャカルタは特別州として現在も王族が存在している。
我々の宿泊ホテルも旧王宮を近代的にリモデルしたらしい。ホテルに隣接して王宮博物館や謁見の広間などもある。

野生のジャコウネコはコーヒー農園の熟した果実を食べるが、豆は未消化のままに糞として排泄する。その豆の糞を集め洗浄して乾燥させて、殻の薄皮を丁寧に剥いて高温焙煎したものだ。店には三匹のジャコウネコが籠に入れられて飼われていた。しっかりとした日本語を話す店員の説明を聴きながら試飲させてもらったが、珈琲嫌いの私にも濃厚芳醇な旨味がした。ジャコウネコの消化器の消化酵素の働きや菌の発酵によって独特の味が加わるらしい。

ラマダンのガイドは飲まぬ炎天下

<名前は知らない花>

<女学生ガイドが恥ずかしそうに説明した官能的レリーフ→>

<檻にジャコウネコが見れる>

<ジャコウネコ珈琲豆:手前は猫糞に混じった豆>

ラマダンの空気一変夏没日

メッカ巡礼へは彼女は既に2回済ませて、この9月から3回目の巡礼に行く。巡礼者は概ね1000人に1人の割合でゆくので、人口の多いインドネシアからは20万人以上にもなり、これは世界で一番多い。

アティンの今回の旅程は40日で、費用は約40万円になるとか、頭金をイスラム銀行に納め、後は積立ながら費用を捻出するとの事。勿論、事前に調整して、この時期のガイドの仕事は一切受けない。メッカ巡礼でカーバの石を左回りに回ることはイスラム教徒としては連帯感を強め、生きる事への至福の証なのだろう。

青タマリンド日本語習う女学生

寺院内に入ると、ジョグジャカルタの大学で日本語を選考している女子学生2人が実習も兼ねて遺跡の説明をしたいと云ってきた。そんな風に観光客を待つ学生が何人かいた。そのふたりが建造物やレリーフのラーマヤナ物語などを一生懸命に説明してくれた。その間、正規のガイドは日陰で休憩してもらった。ラマダンも終りに近く、疲れが感じられるので、丁度良かった。

記念の写真を女学生と一緒に撮って、メールアドレスをメモしてもらい帰国後に日本語でのお礼と写真を送信した。(返事は無かった)

神々の天突く塔やカンナ燃ゆ

仄暗きシヴァの祠や蚊喰鳥

夏微光角の欠けたる聖牛像

次の訪問はこれも世界遺産に登録されているプランバナン寺院遺跡群。その中心をなすジャワ・ヒンズー教のロロ・ジョグラン寺院は856年に建立されたと推定される。中央のシヴァ神殿は高さ47mで、外壁に古代インド叙事詩ラーマヤナをモチーフにした繊細なレリーフが施されている。シヴァ神殿の左右にはブラフマ神殿、ヴィシュンヌ神殿が並び、さらにそれらと向かい合う形で神の乗り物を祀る塔が建つ。ここはヒンズー寺院だが周辺には仏教寺院もあり、ほぼ同時代に建立され、ふたつの宗教寺院が存続していた。

ジョグジャカルタに古都に相応しくない奇妙な風俗があった。結構な交通量の多い道路の中央に着飾ったオネイが次々に現れた。聞けば、信号待ちの車に媚態を仕掛けてチップを貰うとか、この一画だけだったが、風俗も色々だ。

<モールにて>

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レリーフに官能多しパンヤノキ

籐椅子や猫糞からの豆珈琲