7日目:1027日<レイク・テカポ→マウント・クック>

中央の斜めクロスが南十字星

 矢張り星空が気になって、朝は4時に目が覚めた。外は晴れて、しかも、月は既に沈んで、星空になっている。
 急いで着込んでカメラを持って外へ出た。丁度、南十字星とオリオン座が相対してはっきりと見えた。天の川なのか、ぼんやりとした明るさも見える。簡易三脚を地に這わせて、カメラの「星空」モードで何枚か撮った。それなりに写っていたのが嬉しい。

レイク・テカポの夜明け

『男塾』塾長

 このホテルからトレッキング出来る道も幾つか出来ている。我々は早速、二時間ほどのタズマン氷河を目指すルートを歩いた。途中のブルー湖から尾根までは、かなり急峻な道を登る。尾根から展望すれば、その壮大な景観に息を飲む。タズマン氷河湖とそこに浮いている氷河の欠片が見える。氷河を削り、その流れはプカキ湖へ至る。晴天では見事なミルキーブルーになる筈だが、この日は緑かかった灰色を呈していた。

 朝食を近くで簡単に済ませ、この地に有名な露天スパへの未練を残して、マウント・クックへ向かう。

教会では結婚式が行われていた

タズマン氷河(奥)と氷河湖

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冴え返る風や氷河を望む尾根

 心地よい疲れで宿に戻って、まだ明るい6時からブッフェの夕食を摂った。席は山々を望める大窓に面していた。やがてマウント・クックも雲間から姿を少しずつ現し始め、明日への期待が膨らむ。

マウント・クックへ向かうプカキ湖沿いの道から

 プカキ湖に沿って道はマウント・クックへ伸びている。この日の行程は100キロだけなので、ゆっくり時間を掛けて、景色を楽しむドライブとした。天気は良い方向に向かっているが、マウント・クックの最高峰は雲に隠れている。

 朝食前の散歩をしながら、「善き羊飼いの教会」や「牧羊犬の像」を廻る。この日は結婚式があるので、教会の内部へは入れなかった。日本へも輸出される大きな松傘がいくつも落ちていた。クリスマス用の飾りとして使われる様だ。

南十字星しっかと見たり夜半の春

異国にて春はあけぼの山ぎわ白む

雲雀野を歩き続ける「男塾」

 マウント・クックの宿は山の眺望が良いハーミテージ・ホテルに連泊とした。1884年開業とか、多くの登山家が利用し、エベレスト登山を最初に成功したヒラリーもここを基点に訓練を積んだ。今は観光の目玉になっている。

 昨日、立ち寄ったプカキ湖の休憩所でユニークな日本人青年と出会った。リヤカーだけでNZを歩いて廻っている『男塾』の塾長・佐々木規雄氏だ。彼のブログに旅の様子が記されているが、リヤカーの積荷にはパソコンがあり、WiFiで情報をアップしている。その電源となるソーラーパネルもリヤカーに付けている。
 この便利な世の中で、一途な自己鍛錬を課している心意気に大いに興味を持つ。一緒に撮った写真は既に彼のブログにアップされているので、そのスピード対応にも驚く。それまでは漫画『男塾』は一度も見ていなかった。帰国後、YouTubeでアニメを見たが、異次元の世界だ。男気とかバンカラとか武道とか・・・佐々木塾長は何を追いかけているのだろう。

 宿の部屋に戻って、窓からの移りゆく夜明けの景色を眺めた。所々に残っている雲を赤く染め、残雪の山々が姿を見せ、ミルキー・ブルーの湖が次第に明ける。この素晴しい光景には大いに満足した。