5日目:1025日<テアナウ→ダウトフル・サウンド(ヘリ)→ダニーデン>

あたたかや道ただ示すだけならず

灯るとも人なき町や春寒し

 夕食は海をイメージした内装の海鮮料理店で、ムール貝、鮭、海老などの「近海シーフード盛り」を、この旅で知った美味い白ワイン「シャルドネ」で満喫する。ほろ酔い気分で灯りの美しい街の中心地を通ってホテルに戻った。

テアナウ湖畔のヘリポート

しがみつく風山頂の岩根草

春雪を散らしつ峪へヘリ着地

峡湾をひとつヘリ越え春吹雪

フィヨルドやヘリ追う春の虹二重

1873年築のファースト教会

教会の扉開かれ木の芽風

町の中央のセントポール大聖堂

ダウトフル・サウンド観光の六景など

雪解けの滝を斜めにヘリ上昇

 昨日のミルフォード・サウンドの雨模様から、テアナウは晴れ模様へ移っている。啓子さんからダウトフル・サウンドへのヘリ飛行を紹介され、この天気なら飛ぶかもしれないとの事、ならばと予約した。
 テアナウ湖畔のヘリ発着地で天気が良好になるまで待って、12時半になって飛行が決定した。待つ間にテアナウの土産屋をのぞいたりして時間を潰した。しかし、このダウトフル・サウンドのヘリ飛行は素晴しかった。ミルフォード・サウンドより数倍の規模のこのフィヨルドへは、当初、クルーズ船で一泊過ごす計画だったが、旅全体の時間調整からこのクルーズ泊は取り止めた経緯があった。

 直ぐに、街へ出てファースト教会や駅舎の建物を観に行く。
 この町はスコットランド移民によって造られ、19世紀後半から20世紀初頭にかけて建てられたスコットランド風の歴史的建築物が多い。訪ねたファースト教会もダニーデン駅舎もその代表的なものだ。
 1860年代に近くで金鉱が発見されて、ゴールドラッシュが巻き起こり、人口が一気に増えて、一時はNZ最大にもなった。
 町中でレストランへの道を訪ねた青年がとても親切。彼の行く方向と同じなのか、一緒にアーケードを行きながら、「良い街だね、ところでダニーデンの人口は?」と質問した。答えをしないで、彼はスマフォを弄りだしたので、メールでも来たのかなと思って離れ始めたら、レストランの入口で、「ダニーデンの人口は13万人です」と言ってきた。歩いている間にスマフォで調べていたのだ。NZ人は旅行者にやさしいと言われるが、この時は本当に誠意と優しさを感じた。

 テアナウ湖畔に戻り、昼食は桜並木に売り出し中の<PIES>のテラスで簡単なサンドウィッチを摂り、少し予定より遅れて次なる目的地ダニーデンへ車を走らす。カーナビを使っても幾つかの道を違えるも夕方には、南島第二の都市・ダニーデンに到着した。日本からネット予約してあったホテルMerycureへチェックインした。

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 パイロットを入れて四人を乗せて、ヘリはテアナウ湖畔に設えられたヘリポートから一気に舞い上がり、湖を横断し、原生林の上空からフィヨルドへ向かう。
 「ダウトフル(疑わしい)」の名前の由来は、1770年に訪れたキャプテン・クックの船がこの入り江に入ったら帰ってくるのが極めて「疑わしい」ほど深いからと言われている。また、陸からも入り江の口まで至るは、これまた、「疑わしい」ほど険しいフィヨルドで、ミルフォード・サウンドの規模を大きく上回ると言う。
 途中、眼下にマナポウリ地下発電所が見える。更に奥深く飛べば、残雪のフィヨルドの峰々の上空に至る。天気は時折、雨がヘリの前ガラスを叩くが、やがて、それらは虹となり日ざしも入って、素晴しい景観が見える。峰の上には青空も出てきて、好天に向かっている。

 ヘリは二回着地した。最初はフィヨルドの谷間の河原で、ここからは墜ち来る滝の音と風に圧倒される。谷川の水は実に旨い。
 二回目は残雪が残るフィヨルドの山頂で、パイロットは僅かな平地を見つけ着地する。見事な残雪の山塊が四囲にある。入り江の底をのぞき込む事は足元が不安で叶わなかったが、強い風に吹かれながら達成感に大いに満足した。
 一時間のフライトだったが、雲の動きの速さにフィヨルド地帯の天候の不安定さが実感できた。際どい天候の中を飛んでくれたパイロットとヘリ会社へは心から感謝の気持ちを持った。