曇天の湖面も鏡水温む
フィヨルドに汽水域なき雪解かな
倒木で先へ行けない道
早春のフィヨルド鍛えしロブスター
4日目:10月24日<テアナウ→ミルフォード・サウンド→テアナウ>
NZのフィヨルドで最も有名なミルフォード・サウンドへ約120キロの道を北上する。啓子さんからの薦めで、少し早めの7時半に出発する。クィーンズタウンからの団体旅行者が到着する前のクルーズが空いているのと、省略なしのクルーズとか、早起きは三文の得なのだ。
サウンドは入江、深い入り江の最も奥まった港からクルーズ船は海までを往復する。
氷河によって垂直に削られた周囲の山肌を幾筋もの滝が落ちている。時には滝そばまで船を近づけて楽しませてくれる。
いろいろな海鳥と、ハーレムを組むアザラシ、ペンギン、イルカも見えた。
日本語を話す女性の乗務員がいろいろと教えてはくれた。しかし、何と言っても雨交じりの雲で、青空が見えないのが鬱陶しい。年間8000ミリの降雨量なのだから多くの場合こんななのだろう。
春山へ道を塞ぎし風倒樹
ロブスター・ディナーとワイルド・ディナーから
春野から鹿の駈け来る口の中
囀りの集うコッテジの朝餉かな
途中の停車は湖面が鏡面と言うミラー・レイクの一か所にして、一気に目的地へ向かう。峠のホ-マー・トンネルを抜けて曲りくねった坂道を下って港に到着。心配していた雨で崩れた道路の工事による渋滞もなかったので、10時半発のクルーズには十分に間に合った。ここはNZで最も雨量の多い所で、この日もどんよりとした天候。南極とタスマニアからの気流がぶつかって天気が荒れた後なのだ。船は空いて席はがらがらの状態、時には船首へ、時には船尾へ移動する自由も勝手だ。
<keiko’s Garden Cottage>に戻って、「ワイルド・ディナー」を摂る。これも特注だ。メインの皿に野生の鴨、鹿、ヤギ、兎の焼肉が置かれ、それぞれの味を楽しむ。少し臭みが残る肉もあったが、珍しさへの好奇心が先にたつ。アウトドアースポーツの好きなケヴィンさんと彼の友人の獲物とか・・・「鴨肉には散弾があるかも・・」とも啓子さん冗談っぽく話したが、事実あるらしい。
港に戻ったら、多くの団体客が乗船を待っていた。帰路はいくつかの見所を期待するも、雨で景色もままならない。マリアン湖までの道は、前日までの嵐による倒木が径を塞いでいたため、途中まで歩くに留まった。
ミラーレイクの表示も侘びしい曇天
フィヨルドの高さは知らず春驟雨
ミルフォード・サウンドの三景とアザラシ、NZ南島のケア
あざらしの小さきハーレム春の雨
親しげに野鳥寄り来て風光る