3日目:1023日<クィーンズタウン→テアナウ>

<フェアライト駅と駅員二人>

 朝の散策はワカプティ湖に突き出す半島にあるクィーンズタウン公園を巡る。ハイシーズン前で人は少ないが春の息吹が感じられる広大な公園だ。手の行き届いた林の中をNZの春の花々が彩っている。満開の石楠花、花壇のチューリップ、マロニエの花や咲き始めた木香薔薇が植栽されている。木香薔薇は秋篠家親王のお印にもなっている。

<タカヘの家族>

 宿に戻って、この日は日本からメールで注文した「ロブスターディナー」。フィヨルドで身の引き締まったここしか提供できない逸品とか、サラダ風の半身と焼いた半身を前菜と主菜にして提供してくれた。
 桜の木の下に特別な席を設け、スパーマーケットで買った白ワインと併せて、極上の晩餐!先客として沖縄から来られ、しばらく逗留している石川ご夫妻も入られて桜を愛でながら、良き出会いのひと時を過ごした。

 残雪のサザンアルプス景観を楽しむ休憩を入れながらも、余裕で、1時頃にはテアナウの宿<keikos Garden Cottage>に到着した。庭の手入れをしていたオーナーの啓子さんが、早い到着に驚きながらも喜んで迎えてくれた。

雪解けの野にSLの駅舎かな

 トイレ休憩場所を探していたら、保存鉄道「キングストン・フライヤー」のフェアライト駅を見つけそこで一休みする。19世紀中頃のゴールドラッシュ時には盛況だったが、今ではSLがシーズン時に観光客を乗せるとか、駅舎の女性が話してくれた。

春星のごと微光あり窟の闇

<牧場は羊や牛、馬だけでなく、食用の鹿が飼われている>

 芽吹いた林の中でディスク・ゴルフを楽しむ人を見た。フリスビーの様に円盤を飛ばして独特なネット状の篭に入れる。18の篭が林に配置されているらしい。ゴルフの様に何回飛ばして篭に入れるかを競う。
 他にNZボーリングのコートがある。人工芝で敷き詰められたコートでゲートボールサイズのボールを転がし得点を競う。こうしたスポーツは全く知らなかった。

<朝のワカティプ湖>

 食後は7時からの<ツチボタル洞窟>へ出かける。テアナ湖畔から50人程を乗せた船が30分ほど西岸の洞窟へ向かう。暮れてゆく山々を見ながら、半数を占める中国人ツアー客が、私以上に、忙しく写真を撮っている。

 洞窟入口から十人程のグループに分けられて、それぞれガイドが付いて説明してくれる。洞窟内は湖へ流れる川が流れ、その上を通路が作られている。
 頭をぶつけない様に内部の船着き場へ進む。そこから小舟に乗って闇の中をゆけば、やがて夜空の様にツチボタルの光が目に入る。なかなかの幻想的な世界だ。写真撮影は禁止されている。

巣離れの絶滅危惧種ズーム引く

 ここはフィヨルドランド国立公園の入り口の街で、南島で最大のテアナウ湖畔にある。早すぎて到着したために、先ずは啓子さんの推薦の食堂「サンドフライ」で昼食を採り、絶滅危惧鳥のタカヘの雛が生まれた「ワイルドライフ・センター」へ行く。
 タカヘはテアナウのシンボルとして大切にここで保護されている。啓子さんの情報通り、大きな柵に囲まれた中にタカヘの親子を見つけた。雛は黒く、親鳥にくっ付いて歩く様が遠望できた。

keikos Garden Cottage>の入口

↑は桜の木の下に集まり記念写真

新しき出会い異国の花の宴

 人間が入るまで、NZには海を渡る哺乳動物が居ない島だった。(コウモリはいたともいわれるが・・鯨、アザラシは訪れて来る)
 天敵のない世界で、飛べない鳥へ進化したものもあり、このタカヘもその内の一種類だ。他にもNZの国鳥にもなっているキーウィーや、駝鳥より大きな伝説のモア(化石が見つかった)などの天国だった。

 やがて、人と共に入って来た犬や鼠などの犠牲となりその数を減らしたとされている。

 keikos Garden Cottageは啓子さんと、ご主人のケビンさんが仕切っているB&B。日本で今回の旅を作っている最中にネット検索でヒットして、旅の様々な情報をメールで教えてもらい、また手配もして下さった。

春風や羊と鹿は柵隣

円盤が鈴懸の花掠め飛ぶ

ツチボタル観光のパンフレットより

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昨夕は可なり混んでいた湖畔の名物店でココアとパンで簡単な朝食を採る。

安全のために預けたレンタカーをホテルのバレット駐車場から出して貰う。カーナビも借りたので、盗難などで返却時のトラブル避けるのには、ホテルではバレットが良いと判断したのだ。

 ドライブ初日なので道路事情やトーラスの運転慣れも考えて、少し早いが、出発する。テアナウまでの170キロは概ね平坦。しばらくはワカプティ湖畔沿いの6号線を景観を楽しみながら進み、やがて、牧場の広がる丘に移り、のんびりと平均時速100キロを守って走った。
 実はこれから泊る宿のオーナーの啓子さんから、取り締まり情報を事前に得ていた。

チューリップ散るやジョギング手が触れて

挨拶にズボンをつつく春の鴨

春鴨の雄と雌との鬼ごっこ

引っ張れば一叢揺れる黄モッコウ

副業は金属探知か山笑う

湖畔に戻ると、人に慣れ切った鴨が気安く近づいてくる。また金属探知機を使ってコインを探し集めている白人や、ジョッギングするアジア系の若者など、人も鳥も春を楽しんでいる。

<クィーンズタウン庭園にてディスクゴルフのネット>

 Cottageへ戻り、日本風ジャクージのスパに浸かって疲れを取った。

 説明書によれば、「全長6.7キロ、4階層の比較的新しい洞窟で、未だ3500万年前から石灰岩の浸食が始まり、大きな鍾乳石や石筍の形成はない。ツチホタルの幼虫が放つ光に引き寄せられた昆虫は、粘着性の糸に絡まれ、麻痺されて餌食になる。」とある。タスマニアの洞窟でも見た虫と同じなのだろう。

珍鳥の巣立ちと云えど歩くのみ

一辺はポプラ並木や春の牧