6日目: 4月28日<リスボン→シントラ→ロカ岬→オビドス>
<松葉ボタンが群生するロカ岬とその石碑・・・晴れ間が広がって来た>
<ムーアの城、シントラの町と太西洋までの広野を望む>
出発前にウェブトラベルの紹介で、一泊二日の現地ツアーを予約した。英語ガイド兼ドライバーとホテルで待ち合わせ。旅行カバンはホテルに預けて、一泊用の手荷物だけの気楽な旅が始まる。
<カスカイスの海岸>
陸は尽き大西洋へ春岬 地の果へ松葉ボタンの乱れ咲き
ロカ岬から少し走った街の瀟洒な店で、昼食を摂り、オビドスへ向かう。田園の所々にに風力発電の白い風車を見ながら高速道路を一時間ほど走れば、城壁に囲まれたオビドスに到着する。
目指すロカ岬へ到着した頃には、すっかり晴れて何よりの旅日和となった。西経9度30分のこの地がユーラシア大陸の西の果て、石碑にはポルトガルの詩人が「ここに地果て、海始まる」記している。
シントラから車はエストリル、カスカイスなど大西洋沿いの道を走る。第二次世界大戦でポルトガルは中立国だったので、騒乱を避けた王侯貴族、さらには連合国、枢軸国の外交官やスパイなどが集まり賑わった。その後、カジノが開き、鉄道と道路の整備によって欧州各地からの観光客を迎えているらしい。1976年にも訪ねたカジノのエストリルの思い出す様な面影は全くない。
先ず、リスボンから西へ28キロほど走り、かつて王族たちの避暑地だった世界遺産の町「シントラ」、その最も高い標高529mにあるペナ城にのぼる。この城は、昨年、訪ねた南ドイツのノイシュバンシュタイン城を建築したルードリッヒ2世の従兄弟にあたるフェルナンデス2世が建てた。このペナ城が1885年に、ノイシュバンシュタイン城は1886年に完成している。共に王政が滅亡の危機と相関する皇帝の道楽なのだ。
<ペナ城・ムーア城と王宮を詠む>
極彩の摩訶不思議城アマリリス 旗五本なびく青嶺のムーア城
燕来る天正使節の寄りし城
城門を入ってアマリリスで飾られた曲がりくねった回廊のような坂をのぼると城のテラスに出る。そこには三位一体を表すおどろおどろしい魔除けがあったり、おとぎの国の様なユニークな佇まいが目の前に現れる。1976年10月にタンザニアより家族で訪問した時に撮った写真と比べると、城の建物がエキセントリックな色に塗り替えられている。目立つ赤や黄の殆どは最近に塗られたのだろう。まるで違うイメージになってしまった。
<色塗られていたペナ城のテラス>
<ペナ城の魔除け>
ペナ城からムーアの城壁が見え、その先に王宮がある筈だ。地球が丸く見えるほどの遥かな平野が広がる眺望は見事だが、天正の少年使節団が立ち寄った王宮を見る時間が取られていなかったのは残念だった。
山全体は整備されて自然林の散策路となっている。散策は山頂の城から公園入口までだけだったが、新緑の中にマロニエの花が咲き誇っていた。