最初にバスはハナウマベイを望める公園で停まる。噴火口がそのまま湾になり、プレスリーの「ブルーハワイ」にも登場したこともあって、多くの観光客が必ず寄るスポット。高い透明度を保つビーチとカラフルな魚が多い自然保護区となっている。

 この公園内を野生化した鶏が小鳥たちと走っている。ガイドの話では、「イースターで子供達が鶏の雛を育てるが、やがて、育てきれなくなって、捨てられた鶏」だとか。その後、あちらこちらでそんな鶏に出会った。逞しく成長して野生化し、また、人馴れもしている。

ハナウマベイ

2日目 : 106日 (オアフ島巡りー1)

 カメハメハ大王がハワイを統一する前は、島々を数人の王(アリイヌイ)がこの神々の末裔「マナ」と称して統治し、神々を祀るヘイアウを各地に建てた。その神々を讃える「メレ」と云う詩を表現するものとして「フラ」を踊った。加持祈祷者(カフナ)を使って、禁忌(カプ)制度を厳格に守り、貴族(アリイ)、首長(コノヒキ)達が、農漁業従事者(マカアイナナ)を治める社会を形成していた。」と本からの知識。

 ハワイのパック旅行は今では概ね飛行機便とホテルの組み合わせで売られ、その間は自由行動が多い。現地のツアー、レンタカーでの観光、浜でのんびりしたり、活動派はゴルフや海釣りなどが楽しめる。

 今回は宿泊ホテルでの結婚式に参加する事が最大の目的だが、我々5人は、それを中心に二つの日帰りツアーを事前に申し込んだ。式に参加する親族もそれぞれに幾つかのオプションを付けて自由に行動できる。横浜の妹夫妻も一緒に、この日はパワースポット巡りの日帰りツアーへ乗り込んだ。

 ユニフォームのムームーを着たガイドが付く。日系人なので言葉で不自由はない。彼女の話だと、ハワイ州の人口では最近、フィリピン系(人口比:15%)に抜かれたとか、日系(同:14%)はその次らしい。2010年の人口は136万人でアジア人が40%近い。先住のハワイ人及びポリネシア系は6%、白人は25%だとある。

 次いで、バスは横綱・曙の銅像のあるワイマナロのショッピングモールへ向かう。地元出身の横綱を誇りとして、この街の募金で、突っ張る曙関が等身大の大きさで建てられていた。曙は純ハワイ人で、武蔵丸や小錦はサモア人系とか言われている。

 外国人として最初の横綱になり11回の幕内優勝を飾る立派な成績を残したが、外国人が故に、人気の若貴の敵役にもみなされる事もあった。このモールには所謂、土産屋もあって、特に日本人観光客を呼び込む体制が採れている。店には珊瑚、特に黒珊瑚を使った装飾品が多い。

 再びバスに乗り込み、オアフ島最古の神殿と言われるウルポ・ヘイアウへ向かう。鬱蒼とした林の中に細かい石を積み上げた大きな塁がある。ハワイ先住民が石を手に手に運び、一夜で築いたと説明板に挿絵と共に描かれている。

 「ウルポ」とは「夜の霊感」との事。生贄を捧げた石や、王族の出産に使った石などもある。近くには主食のポイとなるタロイモ畑もあり、緑と水の多いハワイの昔からの姿を見せている。今でも祈りの場として神聖視されているとか、ガイドの指導で、風の流れの中で手を上げて祈りながら霊感を得た。以上で3時間のパワースポット巡りを終えて、ワイキキに戻る。

 1778年にキャプテン・クックの来訪から白人の逗留が始まる。1795年にカメハメハ大王によるハワイ統一を経て19世紀になると、白人達はハワイの白壇を中国に輸出した。ハワイから白檀が無くなると、次に捕鯨の補給基地にもなって、島の経済は成り立った。19世紀末から砂糖産業が、続いてパイナップル産業が立ち上がり多くの移民がアジアから農民として入って来た。1898年に米国に併合、そして、20世紀になると、米国の重要な軍事基地として島の経済を潤していた。しかし、今は観光収入が経済を支える最大の柱となっている。

畦を行くムームーひとり芋の露

 <上半身裸だった女性は淫ら>としてキリスト教の宣教師がムームーを強制的に普及させたと、青い涼しげなムームーを着たガイドの説明。

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 日本列島の様に大陸から移動して出来た島とは異なるハワイの島々は海底火山の噴火によって生まれた。この為に、独自の生態系を残していた。西暦300年から750年ぐらいに最初の人間が渡って来たといわれる。ポリネシアから戦いに敗れたなどの理由でカヌーに乗って数百キロを逃れてハワイに辿りついたのが、先住ハワイ人と言われ、その航法は星を羅針盤としたポリネシア航法だと言われている。

 兎島を目の前に見る海岸でバスを下車し、波打ち際のマカプウ・ヘイアウ(神殿)でハワイの神に祈って力をもらう。男女別々の神の石が岩礁で簡単に造られている。キリスト教の宣教師が来るまでは、ハワイでは固有のシャーマンを軸とした宗教観があり、おおくの神が信仰されていた。

露けしや地霊の宿る凹み石

結界の巨き土塁や秋日濃し

けが痕の無き曙像うそ寒し

地母神の岩潮吹けり空高く

ウルポ・ヘイアウとハワイ人主食の芋畑

グランド・チャンピオン曙の像

 昼食では、相変わらず、それぞれに量の多い皿が出たが、なんといっても、大人の頭ほどのパンケーキが二歳児の孫に出たのには驚いた。思わず大人達がはしゃいで、「ハッピー・バースデイ」みたいだと唄えば、今度は店のマネジャーが急に気を利かせ、ローソクを2本立てたケーキを持ってきて、一緒に唱和する。誕生日とは五か月も離れていて、申し訳なかったが、今更、引込みが付かず、有難く頂戴した。チップは弾んでおいた。

 その後はホテルのビーチで夕日が落ちまでゆっくりと過ごす。

水澄むや海に沈みしクレーター

秋うらら鶏棄てられて居高ぶる

兎島とマカプア・ヘイアウ(神殿)

 ハナウマベイからオアフ島の東海岸を北上する。この辺りはオアフ島の中でも美しいビーチが集中しているが観光客はぐっと少なくなる。東端のマカプー岬の磯伝いに、潮吹き岩やその形から亀島と称する半島や兎島と名付けられた小島が見えて飽きない。かつての火山活動の造形だ。