6日目 : 629日 (ミュンヘン→ノイシュバンシュタイン城→ローテンブルグ)

夕食後に宿から街へ出る。マルクト広場の市庁舎の右手に市議宴会館の壁にはユニークな仕掛け時計がある。30年戦争時に、ここを占領した皇帝軍テリー将軍が市参議らの斬首を命じたが、大ジョッキでワインの一気飲みを誰か出来たら斬首は止めると言った。当時のヌッシュ市長がこれを受け、見事に一気に飲み干し、この窮地を救った・・・その故事に因んだ仕掛け時計だ。丁度9時に、カラクリ将軍と市長が現れ、この故事を演じた。
 それを楽しんでから、街を囲む城壁に登り、既に薄暗くなった通路をしばらく歩いた。木組みの街並に灯が入って美しい。

 

故事語る仕掛け時計や夕涼し

 

城壁の矢狭間をのぞくサングラス

 

城壁の狭き回廊青葉木菟

 

中世より木組みの窓や夏灯

 ミュンヘンから暫らく南下して、やがてドイツアルプスが前方に見えて来る。この日はバスの最前列に座れたので視界が広い。アルプスの向こうはオーストリアだ。

最初に18世紀につくられたヴィースの巡礼教会を訪ねる。ある農婦が修道院に放置されていた「鞭うたれるキリスト」の木像を貰い受け、熱心に祈りをささげたところ、キリストが涙していたという。修道院は認定しなかったが、この噂は「ヴィースの奇跡」として広まり、多くの巡礼者が農婦の家に集まった。その話を聞いて、こんどは、修道院が先頭に立って浄財を集め、この教会が建造された。

ロココ式の内部の装飾は見事と言われている。訪ねた時間は丁度ミサが行われていた為に、内部へ入れなかった。大勢の信者を前にして説教をしているのが入口から見えただけだ。外は何の変哲もない教会だが、牧草地の広がる素晴しい景観だった。ここは世界遺産にも登録され、ロマンティック街道の観光スポットになっているらしい。

 次に更に多くの観光客を集めるノイシュバンシュタイン城へ向かう。バイエルン国王ルートヴィッヒ2世が19世紀後半に建造した中世の優美さを追求した白鳥城。自身の夢の実現の為に巨費を投じ、国を傾けるまでに至り、完成後間もなく国王は幽閉され、そこで自殺したとされる。しかし、その後のドイツ観光局の努力が実って、今はバイエルン州随一の観光収入源となっている。ディズニーランドの城として模されている。

山へは専用バスや馬車で途中まで登り、更に歩いて城を目ざす。途中の細い谷橋からは白亜の城が美しい。この橋は写真スポットでとても混んでいた。城内をガイドツアーで一巡し不可解な皇帝の夢を見学する。内部には、ワグナーの歌劇に憑かれた皇帝好みの白鳥伝説の壁画が画かれている。更に、鍾乳洞までも造られているのが異様だ。城を出て、30分程、林道を歩いて下りて、チケットセンター近くにある日本人相手の土産屋を集合場所として、暫らくは自由時間を楽しむ。目の前のホーエンシュヴァンガン城は眺めるだけで、坂の多い町を散策した。

 ノイシュバンシュタイン城を出て、ロマンチック街道を300キロ程北上する。途中で停まる事も無かったが、田園風景と古城や教会を囲む町々を見ながらの街道を中心にバスは進み、古都ローテンブルグのマルクト広場近くの古めかしい宿に到着する。

麦秋やヤコブの階段下りくる      青葉して嶽に聳える白鳥城 

 

国ひとつ傾け王の昼寝覚め       滝を背に名城眺む谷の橋

<ニンフェンブルグ城と花で飾った一般民家>

<皇帝の夢:ノイシュワンシュタイン城>

<ルードヴィッヒ2世と彼の父の居城、ホーエンシュウヴァンガウ城>


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<古都ローテンブルグの市議宴会館↑とその仕掛け時計↓>