10月25日AM (シッキム州都、ガントク周辺)

NOR-KHILL HOTELにてガイドK氏と運転手B氏を挟んで

金冠を得し処女峰の暁(あけ)や秋

露けしやカンチェンジュンガの夜明け待つ

宿に戻って朝食を済ませて、車を出すまでの短い時間にシッキム王の迎賓館として建てられた宿を見聞する。ロビーにはシッキム風な調度品と花が飾られ、壁には王朝時代の古き写真が掛けて、かつての雰囲気を味わえる。庭は小奇麗に整えられて、サルビア、ハイビスカス、沙羅の花、菩提樹の花などが美しい。

8時に出発する。最初の訪問先は市内のシッキムの物産展と職業訓練所を兼ねたような学校。シッキム州は東西南北の四地区から成っているが、各地の物産が30ほどブースを持って展示している。丁度、この日が物産展示イベントに当たり、ガイドが気を効かせてくれたのだろう。木や竹を使った民芸品、叩きだした鍋、それに野菜や漬物なども出している。

ガントク郊外の展望台タシ・ビューポイントへカンチェンジュンガの日の出を見に行く。

 早朝五時の出発だが、時差の関係で全く苦にならない。車で町を30分ほど登った小高い丘から、夜明け前のヒマラヤ山系が眠る様に澄み渡った空気の中に見える。丁度この日は満月でもあり、万年雪の白い峰々は月明りで浮き上がって、静かに日の出を待っているようだ。この丘には、我々以外にはドイツ人夫婦と台湾からの女性2人だけが、この贅沢な時間と空間を独占した。地上は露で濡れて、空気中の不純物は全て拭い去ったようだ。
 
 夜明けだ。主峰の山頂が金色に輝き、見ているものに戸惑いを感じさせられるような神々しさがある。

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職業訓練所では若い女性は織物工芸など、男性は仏像の木彫を習っている教室に入った。K氏は「技能を付けないとネパール人の職は難しい」と話していた。(一方、チベット人は難民認定を受ければ優先的に職を得る事ができるそうだ。)

タシ・ビューポイントからのヒマラヤの夜明けと満月

シッキム絨毯の無駄な毛羽取りの訓練

むだ口楽し絨毯織りの少女たち

朝日に光るカンチェンジュンガ

 日が登るにつれて、峰を下る光りの帯。次第に空が白み、月が輝きを失ってゆく。やかて、黒い前山へ光りが届き、家々の形が判別できてくる。一時間程も佇み、写真を何枚も撮り、旅の目的の多くが達成されたような満足でもあった。