翌日は香港の乗物のツアーを事前に予約しておいた。ビクトリアピークへのトラム、二階建て路面電車、そして香港島と九龍の間を渡るフェリーで、どれも市民の足だ。手短に香港を見るのには向いている。ホテルを廻って小型バスが乗客をピックアップしてくれる。

そのバスを待つ一時間くらいで、ホテルの前の麺粥屋で朝食を済ます。広東語・日本語・英語の併記メニューには百種に及ぶ粥や麺が並ぶ。我々の選んだ鶏肉の粥は三十香港ドルだから、400円程だ。香港は共稼ぎが多く三食を外食にする人が多いとか、ここも通勤途中の男女がここで食事を手早く済ましていた。

下山は急勾配のトラムに乗る。
1888年完成の香港で最初の公共交通機関で、往路も復路も8分で標高373mの高度差を運行している。垂直に立つビルは窓に斜めに傾いで見えて、その勾配の険しさを知る。トラムの床は滑らないように工夫されている。


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ピックアップのバスは予定の時間を少し遅れて到着。しかし、事前にホテルのフロントへ電話連絡が入って、交通事情による10分遅れとか、決して、ずぼらな仕事ではない。
複数のホテルを廻ってピックアップした十人の日本人客だけを乗せて、そのまま海底トンネルを抜けて九龍から香港島へ渡る。

トラム駅からは一般バスで香港島の繁華街、中環へ移動し、シャネルなどの有名ブランド店が四面にあるショッピング・モールを見せてくれる。
しかし、買い物はここでは許されない。この時は何故なのか解らなかったが、このツアーのスポンサーの店へ行くので、ここは見るだけ。ほんの五分で今の香港の繁栄を垣間見させたのだ。

最初にビクトリアピークへ向かう。
映画「慕情」の場面を彷彿させる高級住宅地を登って頂上へ着く。

この季節は垂れ込める曇りが多くて視界不良を心配したが、展望台からの香港の景観は雲の下限に広がっていた。
超高層ビルが林立して、特に高いビルの先端は雲に突っ込んでいる。

(ビクトリアピークの展望台)

二階建てトラムの軋み春の風

続いて香港島のビル街を走る二階建ての路面電車に乗る。観光客にも人気だが、地元の大切な足にもなっている。二階に座って窓外にカメラを向けても全て縦長に撮らないと鉛筆ビルが収まらない。狭い面積を上へ上へとビルが建ち、路面電車もバスも二階建て。世界一に土地の価格が高いのも頷ける。

(新しいモールにはブランド店が多い)

この乗り物ツアーの参加者は、自由時間で過ごすより一万円ツアー代金が安かった。観光させてもらって、安いのは何故なのか、予約時には解らなかったが、グループで買い物をしてもらう魂胆だったのだ。

二ン月の雲の底突くビルの先

土筆なき国に土筆のビルばかり

(二階建て路面電車)