回春院の俳句(11−12月)

どんな目的で、あるいは誰の墓なのか、やぐらの謎はロマンでもある。

保存会のボランティアの方々が月に一度の手入れを、この回春院の自然を守るため努力されている。歴史と自然の溢れる寺領は開発の名で崩さずに遺したい。

歩の緩む野草博士や秋うらら         窓開けしままの廃屋冬立てり

寄せ墓は雑兵ばかり竜の玉          やぐらにも酸素あります暮早し

坐禅です静かにしましょう庭叩き       届き得ぬ天辺に柿一つあり

地に還る寺の木の葉や人もまた       「門」と「番」てふ犬連れ冬着の僧

つつがなく雑木それぞれ黄落期       濡れてなお彩の嵩なす柿落葉

誰が権現からす天狗とからす瓜

<霧野萬地郎 句>


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10月の俳句