回春院の俳句(10月)

温暖な鎌倉の秋は遅い。いまだ鬱蒼とした緑がこの時期でも残る。

回春院を分岐して、谷戸は三つに別れている。雨台風になれば、多くの土石流が三方面の谷戸から流れ込み、寺の庭や大覚池を埋める。自然との共存は難しい。

<右の谷戸からの土石流>

<西御門から入る谷戸の下り坂>

がちゃがちゃや剣豪作家の独り墓        草跳ねてきちきちバッタと分かりけり

小春日や悟り貌して山羊の座す            溝蕎麦や古地図の示す田のあたり

人が来て話題の返る秋出水               コンクリの土止めの壁の草紅葉

露白し日当たるまでの杉木立              爽籟と和して高みへ鳶の笛


<霧野萬地郎 句>

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