回春院の俳句(8月)

盆の季節はお寺の繁忙期。我々凡人はそれまでの活動のつけなのか、肉体的な疲れになる。疲れを見せるのは人だけでない。谷戸の自然もなんとなく夏疲れを表している。

原爆忌、終戦忌と鎮魂の月でもある。

手付かずの谷戸よく繁り隘路なす       古井戸をそのままにして草茂る

籐椅子の捨てられている谷戸の池       夏蝶の巴崩して大屋根へ

きちきちの触覚微動雲走る           きちきちや傍目八目桂馬跳び

終戦や一本脚のバッタ跳ぶ           ことさらの破れジーンズ藪蚊鳴く

しばらくは自己陶酔の法師蝉          禅寺の音ひとり占め竹を伐る

奥谷戸の山羊のひと鳴き秋立てり       羅の僧衣のままに小型車へ


<霧野萬地郎 句>

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