回春院の俳句(7月)

蛍の季節、闇に見事な光が舞う。芹を摘んだ谷戸の水辺が自然の饗宴を演じてくれる。岩煙草の花がこの回春院の歴代の住職のお墓に咲くのもこの季節だ。

禅堂に風の道あり涼しかり           躓けば額の花散る杣の径

吹き上がる風奔流へ黒揚羽          皮一枚高みに残す今年竹

少年の顔てらてらと夕端居           道わたる黒い毛虫は走りづめ

酒を酌む谷戸の日暮れや蛍待つ       蛍火の少し弱くて橋の下

高みへと双つ蛍の輝度を上げ         蛍見て気持ち優しく寺を辞す

蛍火や谷戸の奥から近くから         九時近し谷戸に蛍の最終便

<霧野萬地郎 句>


回春院のはじめにへ戻る

6月の俳句

8月の俳句