句集『縞馬』:日本のサファリ<2013年(平成25年)−5>
丈が生まれた名古屋より帰宅して、間もなく、孫の航太郎の「お食い初め」と栞南の一歳の誕生日祝いを一緒にわが家で行った。大きな鯛と一歳の誕生ケーキをひとつのテーブルに載せて、本人たちよりも周囲が楽しい。
<孫たち4人>
ナイターの音つつぬけの路地の奥
ででむしの乾ききったる丸太橋
涼しさをのぞく底なし寺の井戸
万緑を引き寄す山の鎖り道
<北品川の富士詣>
8月の夏休みには、子供達の家族がみんな揃った。民宿の様に賑やか。孫が主体の団欒は素晴しい。
新涼や赤子の試歩へ喝采す
テーブルの苺へ目線お食い初め
<お食い初めと一歳の誕生祝>
我楽多もいつかお宝走馬灯
卒寿越え尚矍鑠の夏ゴルフ
アジサイの寺や入山整理券
金魚死す名もなく貧しく美しく
廃業と記す茶屋あり竹落葉
月面の海に水なし旱梅雨
泡盛や加齢を華麗と聞き違う
蜘蛛の糸切れるや母の記憶また
<明月院の紫陽花>
秋暑しもう伸びきれぬ脳の皺
投石にあめんぼ散って恙無し
地球温暖化が進む為か、この夏は暑い。そんな暑さの中で、タンザニア会のゴルフを小田原で楽しむ。大正8年生まれの元南極観測船「富士」の艦長のホームコースでのプレイ。93歳を過ぎてエージシュートに挑む心意気に参加者はみな元気をもらう。
大物を引き摺る蟻の凱旋日
万緑や小さき地蔵の赤帽子
階や品川宿の富士詣
<初めて家で咲いた睡蓮>