句集『縞馬』:日本のサファリ<2013年(平成25年)−6

残暑の厳しい9月に2020年のオリピックが東京に決まり、仙台のイーグルスが優勝したり、アベノミクスとかで景気も上向き、国内には明るい話題が多かった。一方、シリアの内戦、フィリッピンを襲った史上最大の台風禍など厳しい災禍もあった。日本の隣国との関係は冷えたままだ。災害復興、原発禍の解決も中々進んでないと報道が続く。

爽やかやハリスの愛でし海鼠壁

旅客機を盾に二国の寒気団

<孫たち↑↓>

南伊豆へドライブを楽しむ。中伊豆には道路の建設もかなり進んでいて、南伊豆へは藤沢から4時間以内で走れる。浄蓮の滝、河津の七滝、幕末にペリーと幕府間で下田条約が締結された了仙寺や、ハリスと唐人お吉で有名な玉泉寺(最初の米国総領事館)など、見所が結構にあった。

きちきちのよく跳ねる日や五輪来る

親戚の結婚式では、家族全員の招待があった。そんな時には子供や孫達が前泊で集まり、またまた、民宿の賑わいがあって愉快だ。横浜の式場までの移動は全員が乗れる小型バスをチャーターした。花嫁のブーケトスの花束を手にした彩芽は得意気だった。

11月の藤沢市民俳句会では「波」の当番もあって、「東アフリカのマコンデ芸術」と称して講演する機会があった。手持ちの作品の展示もあったので、興味を持つ人が多かった。マコンデは、もっと、知って欲しいと思う。

遠山に荒ぶ噴煙夕すすき

亡父の27回忌を法源寺で子供で行い、新しい卒塔婆に替えた。母は「長寿園病院」で医師や介護のプロに守られている。平行棒間の歩行は介助しながら出来るようになった。自宅から離して切ない気持もあるが、母にとっては現状が最も良いと思う。

秋天へ吸い込まれゆくティーショット

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納会の手締め艦長起立せり

南極の氷塊崩る冬館

イヴの夜の世界を巡るネット讃

サンタ帽ずらりスーパーレジ係

風邪の身の目鼻耳口他人めく

遠富士の嶺を逆まく雪けむり

寒々と魔性の月が蹤いてくる

音カチとレンズ装着小春の日

結界を越えまた戻る雪ばんば

ゴルフの集いも増える。スコアーは次第に悪くなり、歯痒い限りだが、親しい仲間と一緒に、自然の中でのプレイは捨てがたい。

露けしや下田の寺の異人墓

身に入むやひとつとなりし二つ岩

天高し復元なりし六角堂

<了仙寺:幕末に渡来した米海兵の墓>

12月後半は風邪が長引いて概ね静かに過す事した。唯一つ、南極の氷にはひかれて某納会へ出向いて、コップに溶ける氷から発する気泡のパチパチ音を楽しんだ。

子ら一挙来たる報ありおでん鍋

また足してそしてまた足すおでん種

秋は通常の句会に加えて、吟行会などもあって楽しい。
「波」の吟行会は、被害が大きかったにも拘らず、東北三県に比べて復興への注目度が少ない北茨城。海沿いの津波による被害は、ブルーシートのままの民家や名所の小島が流されていたりしている景を見ると凄さを知る事が出来る。
津波によって流失した岡倉天心の六角堂も復元されていた。

<復元された岡倉天心の六角堂>

筑波嶺へ日のあたりたる稲架もまた

秋潮を臨む「亜細亜は一つ」の碑

長考のパット ボールへ赤トンボ

秋時雨リキシャは唐人お吉かも

冬富士や電線の無い街作り

名にし負う才媛大使菊日和

ピラカンサ保育児はみな赤帽子

体重を気にボクサーの薬喰