句集『縞馬』:日本のサファリ<2013年(平成25年)-2

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<靖国神社前の骨董市>

<東名高速道路と浜名湖>

<舘山寺>

<新林公園の梅林>

西行の坐せし岩とや若布干す

 

魚は氷に崖の裂け目の地蔵尊

 

笹鳴きや真暗がりなる穴大師

 

浜名湖の四囲平らかに遠霞む

 

囀りや心中供養の山観音

 

竜天に登る浜松出世城

<野面積みの浜松城>

今年は寒い日が続き、また、北国では豪雪で大いに悩まされた。政局では昨年末に民主党から自民党に再び政権が替わり、アベノミクスなる経済政策で円安・株高が進み、企業の活性化が数字上に表れて始めた。一方、アルジェリアでの天然ガス田へのテロ行為やグアムでの通り魔、エジプトでの気球墜落事故など、海外で邦人が巻き込まれる事件が続いた。

その他、靖国神社や江の島を歩いて句材を探し、寒さに負けずゴルフへも出かけたりした。
70年代を大いに楽しむつもりだ。

異人らの値切る骨董市うらら

 

コート脱ぎ遊就館へ威儀正す

 

神鏡を磨き上げたる建国日

 

軍票を束ね骨董春の市

 

軍神に若者多し冴返る

旅では急に思い立って、浜名湖へドライブをした。舘山寺温泉を散策して、家康所縁の浜松城を見物した。カーナビがあれば、日本のドライブは安心できて良い。

天心に春の満月めでたけれ

 

生まれたと知らせ届いて二月尽く

二月最後の日に三番目の孫が誕生した。初めての男の子だ。

三寒の雨や漁網とブイの山

 

テレビ越しとて丸刈りの雪女郎

 

天麩羅はの芽とあり傘たたむ

 

這えば立て立てば歩めよ木の芽晴

 

二ン月の雨鈍色に海覆う

<江ノ島の展望台より>

 昨秋叙勲されたS女史(タンザニアで一緒だった)のお祝いの席に参加した。日本のスワヒリ語研究では草分けの存在、そんな彼女から面白い話をいろいろと聞かせていただいた。
 
 中でも、今上天皇が皇太子時代に妃殿下とタンザニアに来られた時に、日本語ースワヒリ語を直接通訳された。当時は英語を介してのスワヒリ語と日本語が普通だったが、S女史が居たので、現地の部族長と両殿下が直接お話しになれたとか・・・・今でもその事を含めてタンザニアの事を覚えは高いらしい。特に皇后さまにはンゴロンゴロでのサファリや動物の印象が強く残っておられるとは、嬉しい話だった。

<靖国神社の梅林>

ものの芽や島参道を走る猫

 

島裏へ冬日真っ向鳶の笛

 

遠富士のゆるみはじめる春霞

 

冬帽子ぐっと深めに展望台

 

検校の眩しむ日ざし春近し