亀鳴くや夫婦会話のミスマッチ
奪衣婆へ一首添えたり濃山吹
野遊びの昼餉はるかに鳶の笛
車椅子の皆でポーズの梅見かな
春富士や旋回つづく練習機
春の鳶イージス艦を俯瞰して
遥かなる花菜畑や家二軒
亀鳴くや想定外を想定す
みちのくはピアニシモから水温む
突としてドクターヘリや芽吹き山
亡父植えし桜や酒を酌む家族
2012年5月号編集後記
新表紙絵を画かれた塚本実画伯に左記の様な話をききました。
その一、「波」誌を細読していると俳句の良さ(味わい方)や難しさが次第に分かってくるような気が致しました。画家のドガが詩人のマルメラに「私も詩を書いてみたいけどアイディアが湧かなくてね〜」「ドガさん、詩はアイディアじゃないですよ。言葉ですよ」というやり取りがあったという逸話を思い出しました。
その二、ポスト印象派の画家ボナールは、展覧会へ出品してからも、油絵具をポケットに忍ばせて、警備の目を盗んで、展示会場で自分の絵を修正したとか・・・「アトリエで納得して出品しても、展覧会で客観的に眺めるとどうしても加えたい箇所がある」と咎める画商に答えたそうです。
俳句や短歌などを作り、自分のノートにメモしている人は多いのですが、それが活字になると、手書きのメモの句と違った感覚になります。塚本画伯が「それは客観視して見るからだ」とボナールの話の中で云われたのが印象的でした。
藤沢・遊行寺の桜(スマフォ撮影)
句集「縞馬」:日本のサファリ<2012年(平成24年)―3>
2012年らいらく4月号
(スマフォ)
スマフォに替えて一カ月経ちました。カメラ付きで、ネット接続も自在で、小さなボディーに機能満載です。シカゴで最初の商用車載セルラー電話に携わった者としては隔世の感があります。当時は車のトランクに無線機を、屋根にアンテナを置き、大きなハンドセットでした。この30年間の技術進歩は速過ぎ、これから30年後の世界は全く想定外です。それにしても、スマフォのタッチパネルは小さすぎます。折りたたみ式パネルが欲しい!
放生の池へ散華の花辛夷
晩春の湾へ張り出す定置網
子供にも三角関係犬ふぐり
シャボン玉吹きだすベランダ十二階
街角に海抜表示亀鳴けり
千鳥が淵の桜と靖国神社入口(スマフォ撮影)