句集「縞馬」:日本のサファリ<2011年(平成23年)―2>
波4月号(編集後記)
湘南でも強くそして長く感じた地震でしたが、岩手、宮城、福島の津波による被害の大きさには驚きました。罹災された方々へは心からお見舞いを申し上げます。また、ライフラインの切断などで多くの方々と連絡が取れない現状ですが、少しでも多くの方々が救出される事を祈るばかりです。
海岸線を変えてしまう程の、地震や太平洋を渡る津波の伝播など、地球単位の猛威に比べて、人間の営みが如何に小さいかと感じざるを得ません。そんな中で、米国人からのお見舞いのメールを受信して、「日本の災害には大変にショックを受けている。でも、必ず早い復興をするだろうし、そう祈る」とありました。多くの国々からの援助もあり、温かい善意を感じます。
波5月号(編集後記)
今回の東日本の災害では日本中の行動が極めて低レベルになりました。罹災者本人はもとより、親族や友人が罹災された方を思うと、とても何かをしようかとの気分が乗りません。自粛に加えて、原発事故による電力不足に伴う節電要請から更に活動が鈍りました。突然の大停電を避けるためにも皆の節電協力が必要なのでしょう。追いかけるように、強い余震が続いています。
海外からの観光客は激減し、国内ですら、今年の大型連休での旅行客も自粛ムードで、待ち望んでいた観光地は大打撃のようです。そんな縛られた状況でも、復興への力強さもこれからは求められます。
<常泉寺にて>
「以下は東日本震災の句」
朝三分夕は花五分明日七分
飛花落花しばし至福の渦の中
惚け防止とて精魂の紙雛
春めきて首みな伸ばす石の亀
らいらく5月号<ホールインワン>
閑古鳥の鳴いているゴルフ場から、是非に、との要請もあり、友人と廻りました。空いているコースで、プレイする方は結構でしたが、震災後から商売は上がったりの様です。自粛ムードの中、プレイ代の20%は義援金となるらしいので、こうした形で、後ろめいた気分を抑えています。
そんな雰囲気の中、最終ホールで友人がホールインワンを達成しました。素晴しい記録に本人はもとより、一緒の我々も久々にアドレナリンが上昇しました。
春雪を絡め捉えて波尖る
<大庭の引地川の堤>
剥製の鹿も跳ねたり春の地震
町ひとつ海へさらわれ春の闇
花あれど酒は自粛の上野山
春の海ときに続けて魚跳ねる
魂あまた湾に無言や彼岸入る
停電やマサイランプの灯の朧
浜防風ありや支援へ空母来る
米消えてパンも電池も風信子