波1月号(編集後記)

虚子は「去年今年貫く棒の如きもの」と詠いました。でも、いくつかの国で新年を迎えましたが、日本の正月ほど気分一新する事はありません。欧米諸国はクリスマス休暇の後半として新年を迎え、イスラム諸国ではラマダン明け、中国では春節に里帰りの民族大移動があります。これらの国々では単なる暦の一コマとして一月一日を迎えます。一方、日本では、それまでの太陰暦の明治5年は12月2日に終了し、翌日はグレゴリオ教皇の制定した太陽暦、明治6年1月1日へ切り替え、新年を一斉に寿ぎ、これが今の正月になりました。この国の変わり身の速さと柔軟性には驚きます。新年も益々のご健吟を期待しております。

声透る女市長や成人式

やんちゃな孫娘

七草や選ぶ介護のプログラム

赤貧を洗うがごとし初御空


下萌や兎帽子が跳ねて来る

寒川神社

句集「縞馬」:日本のサファリ<2011年(平成23年)―1

らいらく2月号(短文寄稿)

<付いて行けない>
音楽関連産業に携わった事があります。蝋管、レコード盤、テープからデジタル化に伴って、CDが一世を風靡していたのが、つい10年前の事です。今はネットからのダウンロードで音楽を手に入れる時代です。I-podで聴く風潮もすっかり定着しました。知的所有権を保護しながら、こうした音楽や映画ソフトの事業を推進する技術革新に感心しつつ、残念ながら、その変化には追いつけそうにも有りません。

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2月号(編集後記)

この季節になると「風の都市」シカゴでの生活を思い出します。積雪は決して多くないのですが、ミシガン湖からの強風で路面の雪が地吹雪となって歩行者や車を襲います。体験した氷点下30度の世界では、晴れた屋外はキンキンと音を立てている様な厳しさがあり、家では床暖房の地下室で家族そろって背中から身体を温めて寝ました。今年も久々に大寒波が北米を襲っているようです。ミシガン湖畔の波の飛沫がそのまま空中で凍った世界が再現されています。

波の例会資料、羊村主宰の私説「有馬朗人」に、氏がシカゴに居られた話には身近な共感を持ちました。

芳しき二日三日や駅伝来

初明り一筋光る蜘蛛の糸

雪嶺のいま暁光を捉えたり

子と共に新客来たり福寿草

縁談と福袋もて次男来る

雪のこと話して津軽料理かな

廃業と木戸の貼り紙寒月光

河豚か鱈か白子軍艦やってくる

悴んで天眼鏡に手相観せ

手を出せば龍の口より寒の水

トロ箱をひとり占めなり鮟鱇の頭

節分の鬼のパンツをひっぱる子

元朝や背筋伸ばして深呼吸