波誌の10月号は通巻500号記念号でアンソロジー募集があった。いわゆる野生動物主体のサファリから離れて、タンザニア時代の仕事で印象深かった回想の10句で参加した。
通巻500号記念アンソロジー
<マラリア蚊>
地の灼けてサファリラリーの砂塵かな
バス屋根にモンキーバナナを積み上げて
芋露や吾見る婆の好奇心
ラマダンに憚るもなしマラリア蚊
暑き夜や突と公安やってくる
黒檀に鑿打つ響き日除け小屋
八百余流し一機の音涼し
吾を向く銃口黒き木下闇
西瓜盗る猿を狙って獅子が来る
イスラムの白帷子でさようなら
この夏は猛暑が連日の様に襲った。35℃が当たり前になり、所によっては40℃にもなった。
また、地震、台風、大雨の災害が各地で続いた。8月の北海道の地震では全道が停電になる異常事態が生じた。これらの災害地へボランティア活動の若者が率先して出向いているのは素晴らしい。
アメリカFirstを標榜して、トランプ大統領の大胆な政策が目立つ。TPPやパリ協定(気候変動)、国際原子力機関(IAEA)からの離脱や金正恩総書記と会談、エルサレムへアメリカ大使館の移動など次々と手を打つ。古稀を越えての彼のバイタリティーには感嘆する。ゴルフも大した腕らしい・・・
その他ではメジャーデビューの大谷選手が投打の二刀流で活躍。稀勢の里が八場所連続休場など・・・・
8月のお盆休みには孫たちが集まり賑やかだ。そして、彼等の成長は早い。
<1972年のタンザニア:工場からラジオの初出荷>
<2003年:デナリ国立公園のカブリー↑ と アラスカの氷河↓>
波7月号
<極北の(アラスカ)>
マッキンリーをめざし昂る登山帽
極北の蚋襲来にたじろぎぬ
ヘラジカの長き影引く白夜かな
街中に短き夏の花を吊り
ルピナスやゴールドラッシュの酒場址
ウィスキーグラスへ氷河一欠片
海豹の海へ崩落氷河かな
波6月号
<ラッコ浮く(アラスカ)>
しずかさや避暑の館の水上機
極北やこのときのみと蛇苺
雷鳥の渉るをしばし眺めけり
ラッコ浮く氷河の欠片を枕とし
底見えぬ氷河割れ目の真青かな
海霧ごめの崖を棲みかに角目鳥
ユーコンの奔流短き夏を呑む
波8.9月号
<混血児(プエルトリコ)>
夕焼けの海へ突き出る見張り台
砲門は海へカリブの積乱雲
炎昼や石新しき旧市街
涼しさやスカートまわす混血児
真っ白なファサード真っ赤なブーゲンビリア
累々と蛙の脚のオードブル
<1979年:プエルトリコのモロ城にて>
<1977年のタンザニア:工場での帰国送別式>