句集『縞馬』:日本のサファリ<2018年(平成30年)−3>

3月下旬は北パキスタンの旅を満喫し、4月、5月、6月は通常の生活に戻る。ゴールデンウイークは孫たちと愉快な時間を過ごした。子供の成長の速さには驚かされる。

ゴルフと俳句も楽しんでいる。後期高齢者に仲間入りした最初の一年は順調のようだ。ゴルフでは矢張りドライバーの飛距離が落ちて、確実に体力が落ちているのを実感する。しかし、一緒に回る友人たちも同様なので、同年配との比較ではまあまあだ。

俳句は体力には関係ない。これの良い点は、かつての旅を思い出しながら句を作る事だ。二度も三度も旅をすると同じなので、この作句と推敲の時間が実に楽しい。残念ながら、長い飛行時間や時差が体力的に長い飛行時間や時差が辛くなりつつあるので、俳句つくりで旅を楽しむのも一興だ。

「波」誌への投稿もしばらくはそんな思い出の旅吟7句を続けたい。幸い海外での写真も残っているので、これらを眺めて旅の反芻をしよう。

波5月号
ゴム林(雲南省・西双版納)

動かざる水牛の背へ青田風 


 薫風や創あたらしきゴム林 


午睡する少年僧に枕なし 


 メコン河子らは藁もて牛冷やす 


闘鶏の跳ねの一撃賭成りぬ 


 不揃いの尖りキャベツ売る農婦 


小蠅らを連れて巨豚の村漫歩

4月号
土筆ん坊(雲南省・大理)

雪解けの疎水や菜葉の早流れ 


 馬人来る花の盛りの山道を 


伏流に己が身を寄せ水草生う 


 藤房の揺れるテラスは大理石


雄鶏の一声兵舎の夜が明ける 


 経典を蔵す古塔や土筆ん坊 


農婦手に買えと泥つき春ウコン

大理・崇福寺の三塔

3月号
荷駄の騾馬(雲南省)

「春城」ぞ省都の春を犬走る 


 梨咲くや峡の古道へ荷駄の騾馬 


おぼろかな湖へせり出す修験道 


 仙境の乾ききったる竹の秋 


農婦らは空の背負子で菜畑へ 


 反り屋根に神獣ならび春うごく 


おなごらは春耕おのこはビリヤード

麗江空港の歓迎風景

2月号
シカゴ大地(イリノイ州)>

地吹雪や尾灯が赤くまた点る 


 二ン月やシカゴ大地は凝固せり 


バッテリー毛布に包み地下室へ 


 深雪にどさりタイムズ日曜版 


手作りのゲレンデ庭にありにけり 


 見晴かす地平線まで遥か雪 


戞々と歩くスケート靴の子ら

闘鶏場

シカゴ風景

「日本のサファリ」のTOP         back                next           HOME