句集『縞馬』:日本のサファリ<2014年(平成26年)-3>
母は長寿園病院で幸せな過し方をしているので、こちらも安心安堵の生活が続くのは有難い。
寒い季節の一月後半から二月びかけての動きは少ない。
そんな中で、昨年と同じ様に浅草界隈を歩いた。好天の東京スカイツリーに上り、名物のどぜう鍋を食べて楽しい一日だった。
日脚伸ぶスカイツリーの己が影
着ぶくれを詰め高速の昇降機
スカイツリーはエンジェルフォール比べて低かった
多国語で遊ぶ子供ら雪催い
風花や死後硬直の鳩一羽
待春や上がり框の磨かれて
霾天や古地図にしかと日本海
河豚刺しの透けて九谷の赤絵かな
蠟梅の明るさ点る路地の裏
米国ジョージア州議会が「日本海」の呼称を「東海」と教科書に併記すべしとの法案が可決した。「1910年の日韓併合の際に日本海とさせられ、不平等である」との韓国系住民の主張が容れられたとの報道。
かつて、そのジョージア州の骨董屋で買った日韓の古地図(1849年の英国で印刷)には、しっかりと「Sea of Japan」とあり、「East Sea」ではない。日本は「NIPHON」、東京は「Yedo」と書かれている。
今回の州議会の決議には無理を感じる。ウィキペディアによれば、欧米の古地図調査でも大多数が「日本海」との報告もあり、世界のデファクト・スタンダードを変える論拠が余りにもお粗末です。この法案は民主主義の先進国と自認する米国の悪しき見本になると危惧する。
ジョージア州のアトランタにて600ドルで購入した古地図(証明書付き)
雪女郎ソーラーパネルを滑り落つ
今年は大雪が二度もあり、門の前の路地の雪かきに身体を使った。また、屋根から落した雪がベランダに長い間残っていた。
開成町の瀬戸屋敷にて
2月8日の大雪の庭
釣銭の笊を引き寄す若布売り
聴き取れぬムンクの叫び春の闇
紅梅の大きく枝垂る曾我の郷
黙祷のその刻たれも冴返る
大仏の背の北窓開きけり
一歳の誕生日
小流れの速き調べや芹を摘む
これから一歳
春雪をのせて回転木馬かな
現し世を映す魔鏡か春満月
男かも知れぬ可愛さ雪女郎
ワイパーを立てり豪雪駐車場
税務署のパソコンサポート春マスク
置きどころ探す雪搔き路地の奥