句集「縞馬」:日本のサファリ<2010年(平成22年)―6>
波2010年8・9月号
スロベニアとクロアチアなどを駆け足ツアーで廻りました。教会や一般家屋の壁に残る弾痕、また、現地人の話などに、旧ユーゴ解体後の紛争の後遺症を垣間見ました。強権をもって中央集権を推し進めたチトーのタガが外れ、六つの共和国に分離独立をしましたが、不安定な力関係と複雑な民族・宗教などが激しい抗争を生み、多くの不幸を最近まで生んできました。国境の無いグローバル化が叫ばれる一方、国境によって危ういながら平穏を保つ西バルカンの諸国でした。
観光には、「アドレア海の真珠」と言われる城塞都市ドヴロヴニクなど多くのポイントがあります。表層的な美しい景色を楽しみ、併せて、深層に横たわる歴史を感じた有意義な旅でした。
波10月号
NYマンハッタン島にはあらゆる種類の料理が集まっています。ミッドタウンには、値段は目玉が飛び出るほどに高いセレブな料理店が多くあり、豪華な店の内装と給仕の多さに、チップも余計になります。それに比べて、南端に近い中華街とリトル・イタリアは庶民的な料理店がほとんどで、日本食店より安く、週末には観光客や家族連れで賑わっていました。中でも、駐在員の穴場だった中華街は「合記飯店」の田螺と蟹味噌は絶品の味で、舌に残る思い出です。近くには、9・11で崩れた世界貿易センタービルや、ウォール街があり、平日はそこに働く人たちの胃袋も満たしました。ハドソン川を挟んでマンハッタン島を望む対岸に住んでいた二十年前の話です。


らいらく10月号
(カタルーニャの季語)
日本在住のスペイン・カタルーニャ人から伺いました。11世紀のカタルーニャの詩には季語があったと云う事です。季語と言う概念が西洋にも存在していたとは初耳でした。どんな風に詠われていたかは、聞けませんでしたが、なんとも愉快な気持ちになりました。因みに彼女は仏教の研究で来日し、芭蕉の生まれた伊賀に住んだ事もあって、俳句の研究もしている由、今は連句に挑戦しています。
らいらく9月号
(類人魚)
ホライモリは西バルカン・スロベニアの鍾乳洞にだけ生息しています。暗闇に棲息し続けて、目は未発達です。小さな甲殻類などを捕食しますが、それらの餌の少ない地下水の中では一週間位の絶食には耐える事ができます。それでいて、寿命は人間並みに八十〜百年とも言われます。(実際に検証は出来ないので、確かな証拠は無いが・・)肌の白さから「類人魚」とも呼ばれています。目を皿の様にして、目の無いイモリをこの鍾乳洞で見てきました。
この地球怒りて路地の柿落とす
欠茶椀目玉おやじの秋思かな
秋鯖も秋なすも食う嫁姑
三次元テレビ売場へバッタ跳ぶ
二度三度叫ぶモンクの熱帯夜
蒟蒻の花の蕾(東大小石川植物園)
秋うらら通勤電車へ盲導犬
働くも遊ぶもよろし豊の秋
蒟蒻の花が人呼ぶ虫よりも