句集「縞馬」:日本のサファリ<平成21年―3>
五月に初孫が生まれた。退院後は実家の我が家で一カ月程滞在した。孫の俳句は受けないものだと云われるが、溺愛する詠む人と、読む人のギャップが大きすぎるのだ。兎に角、可愛いのだ。 出来るだけ客観的に詠み込む。
初孫の句は赦されよ花みかん
母の日を三日遅れて子は母へ
聖五月ひとりがふたりとなる朝
吾視るもカオスか赤子の目の涼し
大仏の丸い背を打つ男梅雨
乳飲み子のふふみ笑いや風薫る
白昼夢黴錆カメラからフィルム
アマリリス路地に赤子の声高し
十王も閻魔も寄り目梅雨じめり
食卓へ行水上がりの赤子のせ
武具飾る外交官の館かな
飛びたつは烏天狗か青葉騒
地球規模砂漠化速し衣更
雲水の歩幅は均し風薫る
青時雨アトリエ前の陶の椅子
紙魚走るYEDOと記さる日本地図
床の間を泳ぐ化石の魚群かな
<横浜開港150年記念の巨大クモ>
琉金の裳裾開いて昇天す