句集「縞馬」:日本のサファリ<平成21年―2>
海外旅行は香港とマカオに行って来るも、動きの少ない春を過ごす。いくつかの句会とネット句会で俳句を楽しむ、そんな生活が続く。母の介護の比重が大きくなってきた。加えて、臨月の娘の様子も少しく案じる日々でもあった。
高校時代の同窓生の招待で、初めての能舞台を観劇した。伝統文化の奥深さに久々に感動する。
この春は、書道と俳句で新人賞だった。勝ち負けの無い分野では、自分にも門戸を開いてくれたのだろう。
直角に東風も曲がるや副都心
狛犬の目玉動くや春の蝿
三寒四温五臓六腑七転八倒
足輪付け発信機背に朱鷺の恋
陶狸春一番に蹴倒され
<能のカタログ>
<曾我の梅林>
どことなくモン・サン・ミッシェル海市立つ
白れんの丘へペダルを強く踏む
春衣つけたアシモか太郎冠者
行きずりの異人と彼岸団子分け
パソコンに臨終のある別れ霜
電脳死す記憶つまずく春の闇
メビウスの海の底から子安貝
鶯の一節足らぬ藪の中
四拍子の臨界シテ舞冴え返る
デフォルメの地図の遠さよ万愚節