句集「縞馬」:日本のサファリ<平成20年―5>
北京オリンピックの放送は素晴しいハイビジョンの映像を見続けた。時差が一時間だけなので、開催地が欧米とは違って、生活時間を変える必要がない。オリンピックでは学生アルバイトの車輛運転手として選手村に入った東京大会、それと、1984年のロス・アンジェルス大会が印象に強い。1984年のこの時は、シカゴでセルラー電話の立上げ時の問題対策に苦闘していた。日曜日のロス大会の開会式のテレビを横目で観ながら、事業の見直しをしたのが思い出される。
パラリンピックへの注目も高い北京大会で、スイスチームと一緒に家族的だった東京大会の時とは隔世の感がある。

八月や北京の空は半透明
五輪迎え浮塵子のごとき文字合わせ
星流れ棒高跳びの独りきり
国旗もて走るトラック涼新た
五輪果て消えたテレビと処暑の雨
北京秋天韋駄天の義足たち
夏のラフ地球転がすように打て
赤とんぼグリーン上の風を読む
旅行や美術館、ゴルフなど、それ自体の楽しみに加えて句材を集める大事なチャンス。
鴨来る常陸の低き山越えて
蟻の巣の出口はカッパドキアかも
コーランのしらべ九月の砂嵐
人工の闇も鈴虫よく鳴けり
二学期や漫画逆さに読むゴリラ
殿は行灯を消せ震災忌
幾たびも処暑の明るき海と会う
秋蝶の迷い来てより座の弛み
ちんちろりん新聞サイズの大画面
トンボトンボいま結ばれる赤い糸
爽やかに女を腑分けピカソの目
ウェディングドレス映して水澄めり
掃苔や二十年間亡父ひとり
秋彼岸キリスト教の墓の供華
チベット問題による聖火リレーへの妨害で心配された北京大会は厳重な警戒の下に無事に終わった。
<東京ミッドタウンのピカソ展のポスター>