句集「縞馬」:日本のサファリ<平成19年―3>白い北海道U

二日目は流氷船に乗るべく旅程だったが、海が荒れているために欠航。代案は天都山の流氷館へ。流氷館の説明も展示も分かりやすい。流氷は既に120キロも沖に流れ去ったとの話。地球温暖化の影響からか、流氷の接岸が年々少ないとも話していた。実際の流氷を展示室してある部屋では、湿ったタオルを各自に持たせ、それを振り回して棒の様に凍らせたりして楽しませてくれた。流氷船に乗れなかった他のツアーも集まって、混んでいる。

晴れて遠く知床岬まで見える屋上展望台も、この日はようやくの薄日に、流氷の去った網走沖の黒いオホーツク海と、振り返れば、結氷し雪を載せた網走湖が見えるだけ。同じく雪で覆われた耕作地と区別が分かり難い。

<流氷館の屋上からのオホーツクと網走市街>

<クリオネと人気を分つフウセンウオ>

昼食会場はツアー客を一手に引き受けている様な巨大な食堂。一階はみやげ物屋。少しずつ天気も良化してきたので、目の前のオホーツク海の浜辺を歩く。取り残された流氷の塊がうちあげられている。

オホーツク遅い春待つフウセンウオ

クリオネの流氷はもう来ないかも

流氷の浜に残され汚れけり

春寒やニポポに刑務所の焼印が

ムショ

<オホーツクの流氷残渣>

流氷を列車からゆっくりと眺める旅程も組まれていた。釧路から北見への釧北線の内、無人駅の北浜駅から浜小清水駅の一区間だけジーゼル単車輌で楽しむ趣向。

生憎、流氷は無かったが、珍しい企画だった。2000年の夏に車で来た、原生花園もその鉄道沿いにあった。

待春や釧北線の無人駅

浜小清水駅で待っていた同じバスに乗り、摩周湖へ向かう。折角に晴れかかったのに、摩周湖の展望台では激しい雪で視界が悪い。ところが、僅かな10分位の時間に、雪は止み、湖面だけでなく眼前に摩周岳や湖面にほくろの様なカムイッシュ島もはっきりと見えてきた。劇的な山の天気の変化と摩周湖の景観に感激する。

気分良く、宿泊地へ行けるはずが、まりも街道が雪のため通行止めで、バスは大きく釧路経由の迂回をする。
ここで乗務員の機転で、思いもかけず、鶴居村にある丹頂の保護区に立ち寄れた。僅かな時間だったが、20数羽の丹頂を見ることが出来た。ここが丹頂保護の発祥地と標した石碑があった。

そして、この日も遅く、宿泊地の阿寒湖温泉へ到着した。夜は観光協会の花火もあった。観光の誘致に一生懸命なのだ。ただ、夕食の北海三大貝盛り(ホッキ・ホタテ・つぶ貝)は期待外れだった。

食事後は雪降るアイヌ村を歩いて、木彫りなどの店を冷やかす。


ホワイトデーなれど丹頂舞ひもせず

春吹雪去って化粧の摩周岳

雪霽れてカムイの湖に島ひとつ

けわい

淡雪や丹頂守の若い声

春雪に翳るアイヌの店明り

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雪中の阿寒湖上に花火咲く

<摩周湖展望台より>

<丹頂サンクチュアリー>

<阿寒温泉郷に並ぶアイヌの民芸店>