句集「縞馬」:日本のサファリ<平成19年―2>白い北海道T

今年は雪をほとんど見ないまま、三月に入ってしまった。それなら北海道へ行こうと、流氷を目玉のツアーに参加した。3月11日から2泊3日。羽田からの早朝便で新千歳着。そこからバスでの移動で気楽な旅行のはずだった。

<初日のバス席は最前列で遮るものなかった>

千歳では晴れていたが、札幌を過ぎて、天気予報通り雪になり、やがて、吹雪になる。ガラガラな高速道路を順調に走っていたが、美唄から先は、通行止めもあって、しばらくは国道12号に、そして、また高速道路へ戻る。除雪車に蹤く車で交通渋滞が始まる。

広い北海道で雪に慣れているとは言え、住人にとっては大変な労働だ。地道では時間を食うが、厳寒の北国の日常が垣間見え、またガイド嬢の説明を楽しんだ。曰く、「氷結破壊を防ぐため雨戸や樋の無い家屋」「積雪の荷重防止で交通信号は全て縦型」「村でも神奈川県なみの広さがある」などなど・・

それでも、旅程にある上川の「雪だるまの里」へ午後になって到着する。気温はー5度位だが、吹雪で体感温度は更に5度位下がる。雪一面に、かまくらや雪すべり台などが造られている。氷の博物館へ入って、おもちゃみたいな装置でマイナス41度を10秒だけ体験する。

次に層雲峡へ移動し、バスから降りて「氷爆まつり」の会場へ行く。吹雪は強まり、夕暮れにもなって視界が狭くなってくる。層雲峡も後ろに聳える大雪山も見えない。会場は、組上げた木の骨組みに、石狩川の水をかけ続けて、凍らした人工の洞窟やパビリオンがいくつもあって、それらに灯が入って幻想的。旅行各社と地元の協力での冬の観光起しなのだろう。パビリオンは旅行社の提供で、この天候にも拘わらず、観光バスはひきも切らずに集まってくる。

<氷爆まつり>

春吹雪テールランプの消えぬ昼

開村とだけ読める碑や牡丹雪

雪崩止め柵幾重にも峠道

白銀を貫く雪の道一本

村起す氷爆まつりへバスの列

春吹雪大雪山塊闇の中

彩淡く灯す静寂の雪まつり

隧道は四面氷結歩行遅々

一泊目の宿は温根湯温泉。すばらしい湯量と、雪に囲まれた露天風呂など、疲れをとる。夕食はゆで毛蟹とメンメの煮つけをオプションとしてプラス精算。


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顔を打つ春の地吹雪露天風呂

しじま