句集「縞馬」:日本のサファリ<平成18年(2006年)―2>
国立博物館での「至宝の書」を見学、王義之、顔真卿、三蹟、三筆を始めとして、日中から集められた最高傑作を目の当たりに出来た。力強さ、流麗さから、その筆使いに書き手の個性を感じる。完全に自分の意志が筆の先から迸っている。
梅林で有名な曽我で始めて流鏑馬を観た。近くでの迫力を充分に楽しんで、その後、この近くの娘の婚約者の実家へ招待され、歓待を受けた。心温まるご接待に感謝し、末永いお付き合いを願わずにはいられない。
江の島の恵比寿旅館に一泊して、超結社の句会を楽しむ。雨で生憎の天気だったが、俳句好きの仲間と夜更けまで即吟句会などで鍛える。
また、浜離宮の芳梅亭を借りて、今ひとつの句会があった。丁度、菜の花、梅が盛りで、ここは天候にも恵まれた。夕食はその浜離宮を眼下に望みながら、高層ビルの46階で楽しめたのも趣向だった。
近くの句会にも行ってみる。その中で、寒川での湘南文芸交流会の俳句大会には、「正岡子規をめぐって」の講演があり、その講師は湘南高校時代に歴史を習った小山先生だった。卒業以来、初めてお会いした。講演の後、控え室へ出向き、直接お話をもさせてもらった。その後、湘南高校の同窓会もあり、地元に住むメリットを感じる。
<浜離宮の菜の花畑を上、及び、下から>
<曽我の流鏑馬>
保線夫の鉄打つ音や春寒し
流鏑馬の的中どよめく梅の里
蝋梅や回春院へ坂ゆるし
沢庵や故郷の太陽食う心地
手袋でなぞる真筆ガラス越し
灯台を風除けにして日向ぼこ
東京に二月空刺すもの多し
亀鳴くや耳が四つの音楽家
実朝の海為朝の島おぼろ
鎌倉の未来の図面風光る
地虫出で東京タワl
を登りけり
都心ビル霞むや島の望遠鏡
中吊りに佛の教え春の蝿
恋猫や亡命志士の隠れ路地
ひとつづつ児の指開く桜貝
砂山に埋もれし漁船鳥雲に
初蝶や髭の駅長よくしゃべる
同窓会記憶の朧が晴れてゆく
春疾風平身低頭ペダル踏む
駈け抜けし野に春の雨音楽葬
波灘集巻頭