「波」誌2018年3号の作品より
「雲雀東風」より 眼光のゆるぶ仁王や雲雀東風 山田 貴世
「気宇学ぶ」より 気宇学ぶ兜太の一句筆始 八重樫弘志
「春の星」より 神木の樹齢の声や春の星 朝広 純子
潮集同人から7句
あらたまの雪降りつつむ舞の家 庄司りつこ
梨咲くや峡の古道へ荷駄の騾馬 霧野萬地郎
西郷どんの目玉の欠片竜の玉 原口 海人
七日はや大河ドラマに西郷どん 松永弥三郎
今生は今日が至宝よ切山椒 久保田葵美
宇宙帰りの花種三粒希望の緒 中野 淑子
名前など持たぬ裏山初茜 稲吉 豊
撮影:富山ゆたか
日本の桜の源流と云われるヒマラヤ桜
(撮影:霧野萬地郎)
波集から8句
山門に「立春大吉」雲開く 酒向 昭
元朝や襟の釦のはめ心地 春本 幸洋
天人の散骨葬か風花す 緒方 格子
枯れ葉踏む足裏に山は沈みけり 村田 和子
他愛なきことに腹立つ寒四郎 加藤 澄子
生牡蠣の殻もて海を丸吞みに 中嶋 敦
小道具としての相槌忘年会 清島 俊雄
初空に山霊を呼ぶ鳶の笛 長澤 義雄
灘集同人より9句
「これよりは余禄」八十路屠蘇気分 西室 登
孤独とふ自由あたため七日粥 澤 暁子
老いて知る老いの心や虎落笛 松永 順子
寒紅や男は母を越えられず 山下 遊児
風紋は海のことづて冬鷗 長野 保代
陽だまりは冬将軍の贈り物 新井 里子
枯野ゆく辞世に切字なかりけり 石井 眞
菜畑の光へ障子開け放つ 脇 美代子
死ぬ人がいるの本当よ大雪で 板坂 歩牛