リハビリテーション・センターを発って、広大なヤシ畑を見ながらスカウへ車は向う。Y博士の提案で道が分岐する地の市場で果物を購入した。果物の王様のドリアン、女王のマンゴスチィン、パンの実、毛のランブータン、など等・・車中で早速食べ回したが、いずれも南国特有の味だ。独特な臭いのドリアンは車内に籠もるので、ここでは試みない。

果物をまわしながら、車内は和やかに盛り上がり、Y博士の説明にも身が入る。ラワン材の後は、密林を開墾して作られるヤシ畑が森を侵略し、野生動物の棲める地域の減少が問題になっている。

ヤシ油は即席麺などの食品だけでなく、最近はバイオ燃料としても注目を浴びている為に自然破壊のスピードを自然保護の立場からは多いに危惧していると話された。

待望のスカル・リゾートへ昼食前に到着する。全長560キロのサバ州最大の大河のキナバタンガン川沿った密林の中に新たに作られた施設である。

設立の主旨は「地元、川の民の知恵と経験、日本人の感性を組み合わせたエコツーリズムの拠点を作りたいと、川の民との合弁による自然派リゾートを考えました。観光収入を確保することで、地元住民の生活を向上させ、自然保全に対する意識を高めることを目指します」と事前に送られたカタログに書かれている。

この新施設への最初のツアーの到着には、全従業員が入口から歓迎の列を作って迎えてくれた。この施設で昼食を採る。施設は密林の中にあるので、外で食事や買い物すら出来ない。

タンザニアのキャンプと同じで、自然に身を置く施設なのだ。木道を歩いて、小高い食堂らしき場所へ向う。ソフト・オープンとは聞いていたが、その途中は、客を迎え入れるには余りにも未完成だ。木道を外れてからは登山道のような石くれの道を上る。工事を中途で止めた未完成のロッジや木材があちこちに散らばっている。正に工事現場に足を踏み入れた感じだ。

あっけに取られている内に、昼食の場所に到着して、N社長の歓迎の挨拶と、工事の遅れに対しての説明とお詫びがあった。ラマダンが明けて、工事人が一週間の休暇を取る想定外の事態が主な遅れの原因らしい。
とても、そんな遅れが全ての原因とも思えないが、受付も食堂もなく、こんな状況では、日本では営業開始は出来なかっただろう。

そんな不満もあったが、ボルネオのジャングルの中での昼食は得がたい体験で、ここのマレー料理はなかなかの味だった。特に、食後のマレーの甘み味は好評だった。どの皿も離れた厨房から全員で運んだのだろう。

宿泊できるロッジは一棟しか完成されていない。その棟へは我々夫婦が宿泊するとN社長の発表があった。予約順序で決めたと言う。
昼食後に我々が宿泊するそのロッジの中をオープンハウスの様に全員が案内された。密林に聳える三角の家で二階のベランダからは湾曲するキナバタンガン川が眼下に望め、鬱蒼とした緑が目にしみる。他の七人はロッジ内を見てから、二艘のボートで他の施設へ荷物共々移動した。移動は全て水路だ。


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仰ぎ見る育ちきったる食わず芋

<森の中での昼食>

<ロッジのベランダから・他の7人はボート二艘に分乗して別な宿舎へ向う>