家族そろってケアンズへ<202581418日>

<はじめに>

毎年、浜名湖畔で家族が集まって新年を過ごしてきたが、経営者が代わり常宿ホテルはインバウンドを大幅に受け入れる体制を取るとかで、サービスなどが大きく変わっていた。来年はもう使わないとして、家族が揃う別の計画を考えて、子供ら家族の夏休みと盆休みを利用してケアンズへの直行便のツアーを選んだ。コロナ禍や戦争などで中断していた海外への6年ぶりの旅となった。オーストラリアの入国許可を得るためのスマホでの事前の手続きなど、出入国手続きにデジタル化が進んでいるのには些かまごついた事前準備だった。

ケアンズ迄の直行便は成田からのLCC。大手航空会社よりも運賃を抑えた割安な会社で、孫娘が期待していた機内食は、有料の真空パックのラザニアと朝はナッツ入りのパンだけだった。それすらも無い個人旅行者も可なりいる。航空会社はジェットスターで搭乗は成田空港の3番ゲート。初めてのターミナルで搭乗するには階段を使ってのタラップからになる。徹底してコストを抑えるLCCなのだ。

20時の出発でケアンズへは翌早朝の425分(時差は日本より1時間早い)で所要時間は7時間20分、入国審査もデジタル化していて、旅券の写真とカメラに向かって写真を撮られるだった。このケアンズ空港もLCCが多く使っている。

赤道を越えて南へ避暑の旅      八月のグアム島眠る静寂中

 このツアー客は我々の家族13名だけだったので、気楽な旅が始まった。ケアンズ空港では日本人の女性ガイドが待っていて、バスで15分ほどのパシフィック ホテル ケアンズへ案内された。旅行鞄などはホテルに預け、早朝の海沿いに伸びる遊歩道や公園をみなで散策した。気温は1725℃で、日本よりも約10℃低く、湿度も少ないので快適だ。椰子の木やバンヤンツリー(イチジク科の巨木)を配した公園や散策路が美しい。ジョギングやプールで泳ぎを楽しむ人もいる。
 クイーンランド州のケアンズには二つの世界自然遺産がある。海のグレートバリアリーフ、そして、山側の最古の熱帯雨林だ。


                早朝の公園にて

 ホテルにツアーバスが迎えに来て、この日の熱帯雨林へのツアーが始まった。ケアンズの町を抜ける国道1号線沿いには砂糖黍畑が広がる。オーストラリアの東海岸沿いに広がり、この国の90%以上のサトウキビ生産を占めると云う。走っている国道1号線は大陸を周遊する全長9000マイルで世界最長の国道との事。

世界有数の長さを誇るロープウェー「スカイレール」(約7Km)の始発駅に到着し、3個のゴンドラに分乗して空中へ飛び出た。手つかずの熱帯雨林の数メートル上空を進み45分ほどで終点のキュランダ村へ向かう。この地球で最も古い熱帯雨林として世界遺産にも登録されている。それを守るために樹々などを倒さずにこのロープウェーが建設されたと云う。支柱は空中から吊るし雨林の中に置いて建てられた。支柱で除けられた僅かな植物はその横に移植されたとの解説あり。この世界最古の熱帯雨林を美しい景観を堪能した45分だった。
    世界最古の熱帯雨林の上を行く7kmのロープウェー「スカイレール」(約7Km)から

終点のキュランダではその熱帯雨林をガイドの説明を受けながら木道を歩きながら、見上げるような巨木やそれに纏い付く寄生木など観察する。寄生木はバスケットの様な大きさもあり、中には蛇がいることもあるらしい。垂れ下がった宝石のような翡翠カズラ(Jade Vine)の青緑が印象的だ。


     熱帯雨林を歩く:大きな宿り木(バスケット)や翡翠カズラなど・・・

ツアーにはコアラを抱いて記念写真を撮ってもらえるプログラムが含まれていた。動物保護のためにコアラを抱く写真撮影はオーストラリアでもここだけにしか残っていない。20人ほどの行列に並び各人がコアラを抱いての撮影だった。コアラとしては些かの苦痛だったかもしれないが、暴れることも無く仕事をこなしていた。交代制なのか、近くの檻には別のコアラが眠るように休んでいた。この施設には他にも、カンガルー、ワラビ、蛇なども触る事が出来た。危険な鰐とウォンバットは見るだけだった。


キュランダホテルの昼食(ハンバーガー)を済ませ、帰路は「世界の車窓から」のオープニングにも取り上げられたキュランダ高原列車を利用する。1891年開業で当初はケアンズへの鉱物資源を輸送する産業鉄道だったが、今では観光目的で運行されている。キュランダ駅で乗車し、途中下車してバロンの滝を暫し眺めた。乾期の滝は細くなって岩肌を滑り落ちていた。その後は車窓の景観を楽しみながらゆっくりとケアンズに向かう。街では保育園の子供たちが手を振っている。日に二回しか通らない列車が楽しみなのだと云う。終点のケアンズ駅からバスでホテルへ送ってもらい、チェックインして午後の4時半には各自の部屋へ落ち着いた。


                      キュランダ高原鉄道

前日からの旅程で睡眠時間が少なく疲れもあり、この日はホテル内のレストランで済ます。長い鉄串に刺した肉を客の目の前で切り落としてサーブするブラジルのシュラスコ風で、牛や豚などの他にもカンガルーやクロコダイルの肉もあった。

 ゴンドラの揺れや雨林を越える涼     下闇や翡翠カズラの発光す

コアラ抱く子ら幸せの夏休み              白きかな岩肌滑る滝の糸


 翌朝はホテルから徒歩5分ほどのフェリーターミナルから双胴船に乗り込み、45分間程でグリーン島へ向かう。この島はサンゴ礁のグレートバリアリーフの中に浮かぶ島で、透明度の高いサンゴ礁の海、白浜の囲む小さな熱帯雨林の生い茂り、自然保護と観光の両立を図っている。島からは貝殻ひとつ、木の葉一枚も持ち出しは禁止されている。

 白浜の木陰にロッキングチェアを借りた。そこを基点にして、先ずは全員でグラスボトムボートに乗船してサンゴ礁の海を覗きその透明度と魚の観察を楽しむ。終わりころ、急に大きなロウニン鰺が集まってきた、ボートから餌を撒いての人為的な観光パフォーマンスだった。
 
島に戻って、その後はそれぞれが好きなアクティビティを楽しんだ。浜で遊ぶ児、島の一周の散策、ワニの餌付けショーなど・・・特にパラセイリングで空中に舞い上がった子供たちにはとても刺激的だった様だ。


       グリーン島でのパラセイリングとサンゴ礁の海

                鰐の餌を獲るショウとケアンズの盆踊り会場

双胴船フェリーで島からケアンズ港に戻れば、近くの広場で盆踊り大会が行われていた。ケアンズの日本人会が主催で、多くの人を集め賑わっている。東日本大震災へのケアンズ市民の応援・援助に感謝の意を込めて毎年行われている様だ。広場の中央には櫓も立ち、多くの日本風な出店も並び大盛況だ。夕食はそれぞれの好みでという事で、我々はそこで撞いたばかりの餅を買い、近くのスーパーで鮨を買い込みホテルの部屋で済ませた。

    南海にパラグライダー終戦日                 海亀の顔出す波間直ぐ潜る     

 浜風や子らはたちまち素足へと       ケアンズの町をどよもす盆踊り      

その後、クラブツーリズムのプログラムには無い現地で申し込みした「星空と夜の野生動物観察」ツアーに出かける。これが良かった!マイクロバスがホテルに迎えに来て、若い教員上がりの日本人ガイド兼ドライバーの愉快な解説でケアンズの郊外へ向かった。街の灯が見えぬ闇の場所に停車し、車外へ出れば見事な星空を眺める事が出来た。南十字星、天の川も、些か、齢を重ねた私の目にもしっかり見えた。いくつもの星座の解説もあり、スマホ機能を使っての集合写真をガイドが撮ってのサービスが嬉しい。満天に輝く星が、月とは違った明るさで地上を照らす、正に星月夜だ。晴れてなお、澄んだ大気は星の煌めきに一層の磨きをかけている。それらの条件がそろった素晴らしい時間だった。

夜空を満喫した後、住宅地を走りながら野生のワラビを見つけるプログラムに入る。これも偶然の出会いしか期待できないのだが、目標の10匹を越えるワラビを闇の中に見る事が出来た。ワラビの糞害を防ぐために住宅の塀の多くは隙間が無い。見えなかった時の保険にとガイドが考えていたのだろうか、「ワラビ注意」の道路標識の前で集合写真を撮っていたら日本人が話しかけてきた。多くの日本人がこの住みやすいケアンズ近郊に住んでいるのが伺える。ネットによれば、人口約15万人のケアンズには約3000人の日本人在住者がいるらしい。加えて短期のワーキングホリディや多くの短期観光客がこの町には居るのだ。


                「星空と夜の野生動物観察」ツアーにて:天の川

  星流れ地球の裏へ消えにけり                    星月夜サザンクロスを指さす子

  中天に茫たる銀河の静寂かな                    天の川あの電線に引っ掛か

翌日は終日自由行動で、我々は名古屋の家族と植物園に行った。ホテルから名古屋家族が呼んだタクシーがミニバスサイズだったので、急遽、参加を呼びかけられて、植物園へ同乗して植物園へ向かった。ケアンズ郊外の無料の植物園では、海外も含めて様々な熱帯植物が繁っていた。十分にオゾンを満喫しながら広大な園内を散策し、園内の小粋なテラスで昼食を済ませた。帰りはバスを使う事として、バス停でバスを待っているときに、目の前の道路沿いの森から翅の色鮮やかな蝶、ユリシス(オオルリ揚羽)が飛び出てきた。初日の女性ガイドによれば、めったに見る事が無く、見かければ幸せが舞い込むとの事、その蝶が幾度となく目の前を高速で飛び回っていた。

気分を良くしてケアンズ市内行のバスに乗った。バス代は通常は50円程らしいが、この日は日曜日と無料だった。日本の200円以上のバス代に比べてその安さに驚いた。運転手はターバンを巻いたシーク系の様で、些か荒っぽい運転だったが・・。終点のCairns Central Shoppingモールの中では浦和と開成の家族と出会った。夫々に記念の土産などを探している様だった。 

 

   幾重にも緑陰の径植物園        雨林より青き揚羽の翔ぶきらら         

 

 夕食はホテル近くのレストラン、フェリー乗り場脇のDundeesで楽しむ。一つのテーブルに13人の席を作ってもらい、各自が思い思いの料理を頼み、ワイワイガヤガヤと最後の夜を過ごした。中には500gRUMP (grain fed) ランプステーキ を食べた強者もいた。そして、寒いくらいの夜風に吹かれて宿に戻った。この夕食代は子供たちが払ってくれた.


                 ケアンズ郊外の無料の植物園と夕食を楽しんだ名店

    子はジュース大人ビールで乾杯す    ほろ酔いもしらふの子らも夜の涼し


 最終日は旅行会社の専用車で空港へ向かい、出国手続きを済ませてLCC,ジェットスター航空に搭乗し、ほぼ時間通りに離陸し、7時間後、夕方6時過ぎに無事に成田へ到着した。そこで、皆と別れそれぞれの自宅へ向かった。短い旅だったが愉快な家族揃っての避暑旅行だった。

    飛機はいま北へ北へと残暑追う     峰雲を大回りして着陸す


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